死人に化粧を施して30年、ホーチミンの「おくりびと」

2017/03/12 05:38 JST配信

 「彼は経済状況が苦しかったため妻に捨てられ、悲しみのあまり病気になってしまったのです。彼の紆余曲折な人生の話を聞き、私は放っておくわけにいきませんでした。毎日数十km歩いて彼の世話をしに行き、話を聞いて慰めました。彼が亡くなった時、私はまた死化粧を施し、葬式も手配しました」。

(C) thanhnien
(C) thanhnien
(C) thanhnien
(C) thanhnien
(C) thanhnien
(C) thanhnien

 「なぜ生きている人ではなく、ご遺体へ化粧をする仕事を選んだのですか?怖くはないですか?」と聞かれると、アインさんは笑いながら、「もし怖くないといえば嘘になります。怖いですよ!でもこの仕事が好きなのです。交通事故死や水死によるご遺体、また腐敗が進んだご遺体はあえてあまり見ないようにしますが、やはり逃げ出したくもなります。それでも、仕事への愛と亡くなった方々の運命を思う気持ちから、死化粧を施さずにはいられないのです。私はその人がお金持ちか貧しいかを問わず、完全に無償で死化粧を行っています」と話してくれた。

 死者の淡く青白い輪郭は、アインさんの手にかかると自然なピンク色になり、穏やかさを帯びる。アインさんは全ての作業を誠心誠意行う。アインさんにとって、人の喜びは自分の幸せなのだという。

 アインさんの特殊な仕事は、日に日に多くの人に知られるようになった。はじめ、彼は自分の住んでいる周辺の地域でだけ仕事をしていたが、次第に評判が広がり、遠方の地域からも仕事を依頼されるようになった。

 アインさんはどこに行くにも仕事カバンを相棒のように携えている。また、遠方の地域に仕事に出かけた時、貧しくてお葬式を上げることができない弱ったお年寄りを見かけると見過ごすことができず、その土地で少し足を止めることも多々あるのだという。

前へ   1   2   3   次へ
[Kham Cao, Thanh Nien, 09:44 AM - 21/02/2017, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 南中部沿岸地方クアンナム省タンビン郡にあるハラム町には、「遺体拾い」の異名を持つ男性がいる。ボー...
 ある大病院の霊安室の職員であるグエン・バン・ディエムさん(50歳)は、映画「おくりびと」で広く知られ...

新着ニュース一覧

 商工省と複数の省・市における太陽光発電事業を巡る違反事件で、ハノイ市人民裁判所は、ホアン・クオッ...
 国家主席府は4月29日、受刑者8055人と刑執行猶予中の1人の計8056人に対する国家主席の特赦の決定を発表...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議が5月5日に開幕した。  今国会では、国家構造に関する201...
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) ロンドン:歌謡曲でムードたっぷり、街角...
 ホーチミン市文化スポーツ局は、4月30日の南部解放記念日にサイゴン川沿いエリアで実施を計画していた...
 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)事業の一環で行われた軍事パレードを見物する...
 衣料の製造・販売を行う韓国のレシピグループ(Recipe Group)はこのほど、同社が展開するファッションブ...
 ルオン・クオン国家主席は4月28日、北中部地方ハティン省でラオスのトーンルン・シースリット国家主席 ...
 インボイスに関する政令第123号/2020/ND-CPの一部を改正・補足する政令第70号/2025/ND-CP(6月1日施行)...
 カナダの金融・保険サービス比較会社 「ハローセーフ(HelloSafe)」はこのほど、世界各国における株式市...
 ハノイ市人民評議会は4月29日、バイオテクノロジー分野に特化した「ハノイバイオハイテクパーク」の建...
 日本の経済産業省とベトナム商工省は4月28日、エネルギートランジションに係る二国間協力プロジェクト...
 東南部地方ビンズオン省のビンズオン新都市ワールドトレードセンター(WTC EXPO)で5月7日(水)から9日(金...
 イタリアのサンペレグリノ(Sanpellegrino)とアクアパンナ(Acqua Panna)が冠スポンサーを務める「アジア...
トップページに戻る