片腕を失った退役軍人、愛する妻への贈り物に5度家を建てる

2019/09/22 05:04 JST配信

 その間、クエットさんは1年の半分をれんが積み工として働きながら、建設の経験を積み、自宅の庭に小さなレンガの窯を作った。クエットさんは、右手の代わりに右足を使って土からレンガの形を作り、15kgもの重さになる10個のレンガを肩に乗せて窯に運んでは、レンガを焼成した。身体はまだ痛んだが、片腕で家を建てることを妻に褒められ、クエットさんは喜んだ。

(C) vnexpress
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 長男のチャン・バン・チエンさん(38歳)は、「私は父が片腕で家を建てたことに敬意を抱き、『お父さんはスーパーマンだ』と拍手しました。疲れも知らず1日中働き、家では踊りながら家族を笑わせてくれたんです」と振り返る。

 家庭の経済状況が徐々に良くなるにつれて、クエットさんは 順に5m2、20m2、40m2の家を建てていった。作業員を雇うお金はなかったため、自分で壁を作り、セメントを塗り、屋根瓦を葺いた。「片手しかない人間でも、ゆっくりとではありますが、確実に家を建てることができます。忍耐強ささえあれば、何でもできるんです」とクエットさん。

 住む家が建った後も、妻のドゥックさんは毎日数km離れた場所まで水を汲みに行かなければならなかった。そんな妻のために、クエットさんは1人手作業で井戸を掘った。作業中には、深さ3~4mの地中奥深くにいる夫を妻が心配することのないよう、息切れしながらも時折大きな声で歌を歌った。

 そして数か月かけて、ようやく深さ10mの井戸を掘り終えた。村人たちは「自ら苦行を積んでいるのか」と笑ったが、彼はただにこやかに笑うだけで、誰を責めることもせず、弁明もしなかった。

 2016年、クエットさんは以前の40m2の家に代わる、面積100m2の家の建設に着手した。クエットさんは設計と建設に加えて電気と水道も自分で設置したため、基礎を掘る時とセメントを注ぐ時のみ人を雇った。新居は妻の好きなオレンジ色に塗られ、苔むした緑の家が多い村の中で一際目立っている。

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