日本に留学して調理師免許取得、日越の食文化の架け橋に

2021/06/20 10:36 JST配信

 ハノイ市ソンタイ町の農家に生まれたグエン・バー・フオックさん(男性・29歳)は、畑仕事と遊びには慣れていたが、勉強は苦手だった。かつてのフオックさんは、まさか自分がベトナムと日本の食文化の架け橋になるなど考えもしなかった。

(C) tuoitre
(C) tuoitre

 この10年余りを振り返っても、フオックさんはこれほどまでに内容の濃い、豊かなキャリアを積んできたことが信じられずにいる。

 すべては、フオックさんが多くの挫折を経験し、進むべき道を見失っていた18歳のときに父親に提案された「料理学校に行ったら」という一言から始まった。

 高校時代のフオックさんは、決して優等生ではなかった。実家の農業を手伝うほかに、勉強を放って遊びに夢中で、公立高校に入学するには成績が足りず、補習学校(高校受験で不合格だった、もしくは何らかの理由により高校に通うことができない人のための教育プログラム)に通うことになり、両親は大いに動揺した。

 いつも周りの人たちを笑わせていたフオックさんは、長い間コメディアンになることを夢見ていた。しかし、ハノイ舞台映画大学への入学試験に失敗し、芸能界に入る夢は打ち砕かれた。当時18歳だったフオックさんは、今後の人生の方向性を見失ってしまった。

 そんな中、フオックさんの父親は料理を学ぶよう提案した。父親がこう提案したのは、フオックさんが普段から家族のために料理をし、家族も「美味しい」と評価していたからだ。

 フオックさんの家では、父方の祖父、父親、そしてフオックさんと男性たちが主に料理をする。保守的な考え方の人が多いフオックさんの故郷では、男性が台所に立つというのは珍しいことだった。

 フオックさん自身、料理を仕事にしようと考えたことはなかった。しかし、他に選択肢がない中で父親の提案を受け入れ、ハノイ市の貿易観光短期大学に入学して料理を学ぶことにした。フオックさんはまさか、これが全く異なる人生の道を開く第一歩になるとは思いもしなかった。

 フオックさんが日本料理に初めて触れたのは、ハノイ市の日本料理店でのインターンシップのときだった。10年前のハノイ市にはまだ今ほど日本料理店も多くなく、恩師のつながりからインターンシップの機会を得ることができた。そして、日本料理との「運命」はここから始まった。

前へ   1   2   3   次へ
[Tuoi Tre 10:41 06/06/2021, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ベトナム版ギネスブックのベトナム・ブック・オブ・レコード(ベトキングス=Vietkings)はこのほど、複...
 ベトナム人の兄弟が2016年10月に東京・高田馬場にオープンしたベトナム風サンドイッチ「バインミー」の...
 ベトナム人留学生の兄弟が2016年10月に東京都内でベトナム風サンドイッチ「バインミー」の専門店「シン...

新着ニュース一覧

 内務省は、間もなく迎える2026年の新暦正月に伴う休暇について、2026年1月1日(木)から4日(日)までの4連...
 ハノイ市当局は19日、同市都市鉄道(メトロ)5号線(バンカオ~ホアラック間)プロジェクトを着工した。 ...
 タイの小売最大手セントラル・グループ(Central Group)の小売子会社であるセントラル・リテール・コー...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロ...
 イーグループ(Egroup)とその系列企業における詐欺・資産横領事件で、最高人民検察院は起訴状を発行した...
 韓国のオンラインゲーム運営大手NCソフト(NCSOFT)はこのほど、ベトナムに所在するシンガポール系モバイ...
 財政省傘下統計局(NSO)は23日、中間国勢調査の結果に基づいて作成した詳細な研究結果を発表した。報告...
 内務省は、間もなく迎える2026年の新暦正月について、2026年1月1日(木)から4日(日)までの4連休とするこ...
 米経済誌フォーブス(Forbes)のリアルタイム世界長者番付によると、地場系コングロマリット(複合企業)
 チャン・ホン・ハー副首相は22日、北部紅河デルタ地方ニンビン省(旧ナムディン省)ニンコー経済区の2050...
 齋藤聡海上幕僚長は、10日から13日にかけてベトナムのハノイ市と北部紅河デルタ地方ハイフォン市を訪問...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、国営ベトナム石炭鉱産グルー...
 ハノイ市は、2026年の新暦正月の1月1日(木)および旧暦元日に当たる2月17日(火)を祝う打ち上げ花火の実...
 商工省によると、2025年の電子商取引(eコマース=EC)市場規模は前年比+25%増の約310億USD(約4兆9000億...
 イーモール・ベトナム(Emall Vietnam)はこのほど、フランス発祥のファッションブランド「ピエール・カ...
トップページに戻る