新型コロナ禍、しめやかに死者を送り出す人々

2021/10/17 08:44 ICT配信

 チュオンさんらのボランティアチームがサポートしているのは、経済的に困難な人たちだ。有料の葬儀サービスに依頼するお金もなく、そもそも感染者がいる家庭や封鎖区域に足を運んでくれる葬儀屋もほとんどないためだ。

イメージ写真
イメージ写真

――――――――――

 ある日の21時。チームはその日5件目の作業に取りかかっていた。故人の自宅はホーチミン市ゴーバップ区の封鎖区域内の細い路地裏にあった。家族全員が感染し、母親が亡くなったという。

 路地裏の入り口で長男が待っていた。「家族全員が陽性になり、母は今朝までいつも通りだったんですが、突然吐き気と胸の圧迫感、息苦しさを訴えてそのまま死んでしまったんです」と長男は泣きながらチームに話した。

 「母は私たち兄弟が結婚する日を待ち望んでいました。この5~6年は母子3人で質素に暮らしてきて、母がいなくなった今、どうやって生きていけばいいのかわかりません」と、母親の遺体が車に運ばれていく様子を見ていた末の息子も泣き出した。

 ボランティアチームのグエン・ティ・ハー・ニーさん(25歳)は、道路にひざまずいて母親の遺体を見送る息子の肩にそっと手を置いた。遺体は軍隊が管轄する火葬場に運ばれ、ホーチミン市軍事司令部が火葬して遺骨を遺族に返す。

 この2か月間、ニーさんとチームメンバーの約40人は、新型コロナで命を落としたたくさんの人たちを見送ってきた。メンバーのほとんどが遺体の収容や搬送の仕事をするのは初めてで、本業では別の仕事をしている。ニーさんの本業はオフィスワーカーで、他に銀行員やカフェのオーナー、車の修理工と様々な職業のメンバーがいる。

 「チームの仕事がなくなって、チームが解散する日が訪れたら、それはつまり、ホーチミン市が元気を取り戻したということです。きっと幸せな日になるでしょう」とニーさんは語る。

前へ   1   2   3   4   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 ホーチミン市警察は22日、ビンフンホア火葬センターの職員らが新型コロナウイルスのパンデミック時に、...
 新型コロナ国内第4波の震源地となったホーチミン市。既に流行はピークアウトして、市内の新規感染者は...
 ホーチミン市軍事司令部は19日に開いた会合で、4月末から広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)...

新着ニュース一覧

 レ・ミン・フン首相は8日と9日、ラオスのサルムサイ・コンマシット首相の招きに応じ、同国の首都ビエン...
 日本の格付け会社である株式会社格付投資情報センター(R&I、東京都千代田区)は8日、ベトナムの外貨建て...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナム国家銀行(中央銀行)は、銀行業界における人工知能(AI)の活用に関する安全管理やリスク管理、導...
 生まれつき両手足がないホアイ・トゥオンさん(女性・2008年生まれ)は、左右の上腕を使って自力で文字の...
 国内最大手の格安航空会社(LCC)ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は12
 都市環境事業や交通・標識事業、景観事業などを手掛ける積水樹脂株式会社(大阪府大阪市)は、韓国とベト...
 農業関連技術を手掛けるアグリウェーブ株式会社(東京都千代田区)と土壌改善剤や炭化装置のトレーディン...
 パナソニック株式会社(大阪府門真市)は、ベトナムとフィリピンで使用済みエアコンの回収および再生・再...
 ハノイ市人民裁判所は7日、中央精神法医研究所(ハノイ市)で起きた大規模な汚職事件の第一審で、収賄罪...
 財政省傘下統計局(NSO)の速報値によると、2026年9月の完成車(CBU)輸入台数は前年同月比+59.5%増の2万7...
 最高人民裁判所ハノイ控訴裁判所は7日、第2バックマイ病院および第2ベトドク(越独)友好病院の建設事業...
 ホンダベトナム(HVN)は、タイからの輸入車として7月から販売していた新型電動バイク「UC3」について、...
 総合福祉企業の株式会社ケア21(大阪府大阪市)は7日、ハノイ市の高齢者ケア・医療複合施設で、日本式の...
 花王株式会社(東京都中央区)のベトナム現地法人である花王ベトナム(KAO VIETNAM)はホーチミン市で7日、...
トップページに戻る