ノートルダム大聖堂にベトコンの旗を掲げた3人のスイス人【後編】

2024/12/01 10:13 JST配信

 世論とメディアが騒然とする中、3人は沈黙を保った。パリオー氏によれば、当初3人は身の安全を確保するために事実を秘密にしていた。ベトナムから米軍が撤退し、ベトナムに平和が戻った後も、彼らは「自分たちがしたことそのものに価値はない。重要なことは、当時あの出来事が世に広まったということだ」と考え、あえて声を上げることはしなかった。

(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 しかし、今から5年前の2019年4月15日、ノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生した。彼らは燃え盛り崩落する尖塔を見て心を動かされ、大聖堂の記憶の一部としてこの出来事を改めて語る必要があると考えた。

 そして3人は共著としてこの出来事の詳細を記した「Le Viet Cong au sommet de Notre - Dame(『ノートルダムの頂上のベトコン』の意)」という本を出版した。

 あれから55年が経ち、ホーチミン市共産党委員会のグエン・バン・ネン書記の招きにより、3人のうちバシュラール氏とパリオー氏の2人は、かつて静かに戦い、支持していたベトナムへの訪問を果たした。

 「数日間滞在して色々なところを訪問し、いまだに戦争の名残が色濃くあることがわかりました」とパリオー氏。このことは、地雷はまだ除去しきれておらず、依然として多くの人が命を落としているという事実、そして枯葉剤がベトナムの人々と自然に与えた影響にも現れている。

 こうした中、彼らは、募金活動や法的支援の模索を通じて、枯葉剤の被害者への公平性を求める新たな戦いに乗り出すことを決めたのだった。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:00 19/11/2024, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 1969年1月19日、スイス人の若者3人が、フランス・パリのノートルダム大聖堂の高さ100m近い尖塔に登り、...
 今から55年前の1969年1月18日、スイスの3人の若者がフランス・パリのノートルダム大聖堂の最も高い塔の...

新着ニュース一覧

 石灰・シリカゲル・クレイ系乾燥剤の製造・販売を手掛ける株式会社マルアカ(岐阜県大垣市)は、同社100...
 ホーチミン市チュンミータイ街区(旧12区)のクアンチュンソフトウェアパークにあるスカイエキスポベトナ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナム自動車工業会(VAMA)の発表によると、2025年10月におけるVAMA加盟企業とVAMA非加盟企業を合わせ...
 フランス軍との9年間におよぶ抗戦中、ハノイ市の旧ドンアイン郡ナムホン村(現在のフックティン村)と旧...
 各地方自治体での人事異動により、◇北部紅河デルタ地方バクニン省、◇西北部地方ライチャウ省、◇北中部...
 東南部地方ドンナイ省人民評議会は、ホーチミン市と同省を結ぶ橋3本の建設計画について、担当当局を決...
 携帯電話小売・家電小売の最大手で、ミニスーパー事業も拡大中のテーゾイジー
 神奈川県の黒岩祐治知事は、11日から17日までの日程でベトナムを訪問した。15日には、ハノイ市のベトナ...
 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院は14日、ベトナムの国立がん病院(K病院)との間で、医療分野および人材...
 業務用食品の仕入・調達・開発などを手掛ける株式会社トーホー(兵庫県神戸市)は、ベトナムで外食産業・...
 国会は13日、2026年の国家予算案に関する決議を賛成多数で採択した。2026年の国家予算の主な指標は以下...
 ホンダはこのほど、2026年3月期第2四半期(中間期)の決算関連資料を発表した。2026年3月期第2四半期累計...
 ホーチミン市チョーライ病院は17日、紫外線(UV)照射除菌ロボット2台を導入したと発表した。公立病院と...
 ハノイ市は11月末から、公共電動自転車500台を導入し、既存のシェアサイクル網と併せて運用を開始する...
トップページに戻る