旅行者を魅了するホイアンの「超特急スーツ仕立て」と若き職人たち

2026/06/28 10:11 JST配信

「仕事を守ることは、ホイアンの魂を守ること」

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 ホイアン旧市街にある家族経営の仕立て屋「キムトゥイ・クロス(Kim Thuy Cloth)」の管理を担当するチュオン・バー・ダットさん(男性・25歳)は、胸の内をこう明かす。「ホイアンでのスーツの仕立ては単なるサービスではなく、旅行者と地元の人々を結ぶ、心の架け橋でもあります。この仕事に就き、この仕事を守ることは、ホイアンの魂を守ることでもあるんです」。

 ホイアンの仕立て業の最も特別な点は、職人と客とのつながりにある。ここを訪れる客は単に服を買うだけでなく、職人と一緒に生地の種類、糸の色、襟の形などを一つ一つ選んでいく。

 ダットさんが長年この仕事をしてきて最も印象に残っているのは、ベトナム系オーストラリア人のカップルが結婚式用のスーツとアオザイ(ベトナムの伝統衣装)を仕立てるためにホイアンを訪れたときの話だ。「数ある選択肢の中から、彼らは人生で最も大切な日にベトナムの伝統的な手仕事を採り入れようと、旧市街を選んでくれたんです」とダットさんは話す。

 しかし、ホイアンのスーツの仕立て業もまた、少なくない試練に直面している。ファストファッションの発展、季節によって変動する観光客数、絶えず変化する嗜好により、多くの小規模な店舗が事業の縮小を余儀なくされている。

 また、多くの若者がこの仕事に就くものの、仕事のプレッシャーや不規則な生活リズムが原因で、わずか数年で離れていく。職人は優れた技術だけでなく、トレンドを常に把握し、外国人観光客とコミュニケーションを取り、様々なスタイルに適応する能力も求められる。

 ミシンから離れて、より楽な仕事を探す若者もいる。しかし、クオックさんやアインさん、ダットさんのように、この仕事を続ける人たちもいる。「私がスーツの仕立て業を守りたいと願っているのは、これが生計を立てる手段であると同時に、ホイアンの文化的な魂の一部でもあるからです。若者が受け継がなければ、観光客が求める独自の魅力が失われてしまうでしょう」とクオックさんは打ち明ける。

 深夜近くになり、旧市街の人影はまばらだ。人気のなくなった通りに漏れる黄色い明かりの下で、クオックさんはマネキンに着せたスーツの肩のラインを丁寧に整えている。その傍らで、アインさんはミシンに向かい、作りかけの服の最後のステッチを仕上げている。こうして、ホイアンの夜に、ミシンの規則正しい音が今も響いている。


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