サッカー後進国のクラブにとって、外国人選手を迎えることはクラブの強化のみならず、リーグ全体の発展にも重要な意味を持っている。Jリーグを見ても数々の有名外国人選手が在籍し、◇ラモス瑠偉氏、◇呂比須ワグナー氏、◇三都主アレサンドロ選手、◇田中マルクス闘莉王選手などの帰化選手が日本サッカーの発展を後押ししてきた。さて、そんな帰化選手だが、ベトナムのプロサッカーリーグ(Vリーグ)にもいることをご存知だろうか。3日付バオモイ紙(電子版)などが報じた。
(C) baodatviet.vn ナビバンクサイゴンのファン・バン・サントス選手 |
その草分け的な存在がブラジル出身のゴールキーパー、ファン・バン・サントス選手(ナビバンクサイゴンFC所属)だ。サントス選手は2001年にVリーグのドンタム・ロンアンFCに加入。正ゴールキーパーとして活躍したが、外国人選手は3人までしか同時にピッチに立てないというVリーグの規定もあり、2007年にベトナム国籍に帰化した。その後、クラブチームのオーナー達の間で、手っ取り早いクラブ強化対策として帰化選手ブームが起こり、現在Vリーグには14人もの帰化選手が所属している。
現在、サイゴンFCで活躍している、フイン・ケスレー・アルベス選手もベトナムで成功を収めている帰化選手の1人だ。帰化するに当たりケスレー選手は「私はベトナムを愛しており、いつか代表のユニフォームに袖を通したい」と語った。但し、同選手は「帰化した場合の待遇の良さも決め手の一つであり、それは否定しない」と語った。帰化後、同選手の月給は50%増の1万5000ドル(約123万円)、契約金は3倍の30万ドル(約2462万円)に跳ね上がっている。
この他にも多くの帰化選手が活躍しており、ほぼ全員が帰化後に給料が大幅アップしている。一部の専門家は、「これらの帰化選手は金銭面の待遇の良さから帰化しただけで、愛国心を持っているわけではなく、ベトナム語も碌に話せない」と批判している。
かつてベトナム代表チームで監督を務めたエンリケ・カリスト氏は在任中、サントス選手を代表に度々召集していたが、同選手はその度に辞退していた。この点は、代表に入って、ワールドカップに出場したいという帰化日本人のサッカー選手との大きな相違点である。