【第2回】ベトナムではB型肝炎に注意

2015/04/24 02:33 JST配信

「体がだるくてシンドイな、と思っていたら顔が黄色くなってきてしまって」

そういって受診される患者さんがいます。

ベトナムは B型肝炎 が多い国です。ベトナムでは、肝炎ウィルスに感染する可能性が日本にいるときよりも高くなります。

A型肝炎ウィルスは主に水や食べ物を介して感染します。衛生管理の整っていない屋台や食堂での食事や食器からの感染がその一例です。一方、B型肝炎は、主に血液、体液を介して感染します。性感染症のひとつでもあり、あらゆる性行為(セックス、オーラスセックスなど)で感染する危険があります。また、キスだけでもまれだと思われますが、絶対に感染しないとはいえません。交際しているお相手や結婚パートナーがキャリア(ウィルス保持者)で、自分が抗体をもっていない場合は感染の危険があります。

日本で一般的に知られている状況では、1980年代後半まで行われていたツベルクリンなどの集団予防接種の注射器の連続使用が原因で広がった感染が記憶にあります。感染者に対して国の救済処置が行われていると聞いています。

© ファミリーメディカルプラクティス

ベトナム人の5人に1人はB型肝炎感染者といわれており、その感染率では世界で最も深刻な国の一つにあげられます。2億4千万人以上が慢性の(長期にわたる)肝臓感染症にかかっていると推計されています。毎年78万人以上の人がB型肝炎の急性または慢性の経過によって亡くなっている深刻な状況です。ベトナム人B型肝炎キャリア(ウイルス保持者)のほとんどが、母子感染によるものもので、B型慢性肝炎感染者の15%~20%は、B型肝炎ウイルスが引き起こした肝がんや肝硬変が原因で死亡する場合もあります。

症状の現れ方

B型急性肝炎では、ウイルスに感染して約1~3か月の潜伏期間をおいて症状が現れます。初期の症状は体がだるい、食欲がない、発熱、吐き気、嘔吐など、かぜに似た症状です。その後、黄疸(おうだん)が現れます。茶褐色の尿や白っぽい便が出ることもあります。 B型急性肝炎は、基本的には完治します。しかし、免疫を抑える薬をのんでいるような特殊な場合やウイルスの種類によっては慢性化する可能性があります。また、長い間自覚症状がないまま慢性化し、症状を自覚したときにはすでに手遅れということもまれではありません。

出典:http://www.med.or.jp/

予防

B型肝炎ワクチンの接種により感染を予防することができます。B型肝炎ワクチンの感染と持続感染には(スケジュール通りに接種すれば)95%の予防効果が期待できます。肝疾患専門医による適切な治療を受けることで、肝硬変や肝がんといった深刻な症状に進行するのを防ぐことができます。早期発見、治療で完治可能な、コントロールできる病気です。

B型肝炎ワクチンは日本では任意接種ですが、世界保健機関(WHO)では出生時に接種すること奨励しています。米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインに従いますと、1回目、1か月後、6~15か月後の合計3回の接種が必要です。ワクチンはB型肝炎だけ、あるいはAB肝炎混合ワクチンで接種し、A型肝炎の予防を同時に行う方法もあります。

<著者紹介> Family Medical Practice Vietnam  ペドロ・トリゴ 医師(ホーチミンクリニック) 内科、肝臓疾患専門 アジア太平洋肝臓学会 会員 米国肝臓学会 会員 ペドロ医師は肝臓疾患専門医として20年のキャリアがあります。

著者紹介
ファミリーメディカルプラクティス
20年以上の実績を持つ、インターナショナル・クリニック。ホーチミン市、ハノイ、ダナンの3都市に、5つのクリニックを開設。

日本人医師、日本人スタッフも常駐。日本語ホットラインは救急時24時間対応。

救急医療・搬送サービスも提供。救急医療 専用番号 *9999
気になる医療の話@ベトナム
その他の記事はこちら>
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

新着ニュース一覧

 ホテル運営を手掛ける株式会社スーパーホテル(大阪府大阪市)は2026年3月17日、同社100%出資のベトナム...
 北部地方フート省人民委員会は23日、タイのアマタ(Amata)に対し、ドアンフン工業団地(別称:アマタシテ...
 各地方自治体の人事異動により、東北部地方クアンニン省と同カオバン省の共産党委員会書記、西北部地方...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロ...
 ホーチミン市で23日、2025年の「ベトナム食文化名人」の称号の授与式が行われた。食分野に特化した称号...
 ハノイ市ドンアイン村の国家展示センター(VEC)で12月26日(金)から28日(日)まで、モビリティ分野の国際...
 アマゾングローバルセリング・ベトナム(Amazon Global Selling Vietnam)はこのほど、国境を越えた電子...
 お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹氏と、人気絵本作家のヨシタケシンスケ氏による共著「その本は」のベ...
 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)のレロイ(Le Loi)通りに立ち並ぶ、老朽化した建造物群の改修工事がこ...
 造船工業総公社(ShipBuilding Industry Corporation=SBIC、旧ビナシン=Vinashin)傘下のナムチエウ造...
 日本の外務省が主催する「第19回日本国際漫画賞」で、ベトナム人作者・原作者の作品が優秀賞を受賞した...
 産業設備や産業素材、機械部品などの事業を手掛ける極東貿易株式会社(東京都千代田区)の100%出資子会...
 環境配慮型の素材開発および製品の製造・販売を手掛ける株式会社TBM(東京都千代田区)は、北中部地方ハ...
 内務省は、間もなく迎える2026年の新暦正月に伴う休暇について、2026年1月1日(木)から4日(日)までの4連...
 ハノイ市当局は19日、同市都市鉄道(メトロ)5号線(バンカオ~ホアラック間)プロジェクトを着工した。 ...
トップページに戻る