- 都市部交通手段の電動化切り替えを促進
- 環状1号線は全長7.2kmの環状道路
- ガソリン車の制限区域を段階的に拡大
ベトナム政府は、大気汚染の深刻化に対応するため、2026年7月1日以降、ハノイ市の環状1号線内でガソリンを燃料とする二輪車(バイク・モペット)の通行を全面禁止する方針を打ち出した。これは、ファム・ミン・チン首相が発出した緊急環境対策指令に基づくもので、都市部における交通手段の電動化への切り替えを促す狙いがある。
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環状1号線は、旧市街を囲む全長約7.2kmの環状道路で、域内には旧ホアンキエム区、旧バーディン区、旧ドンダー区、旧ハイバーチュン区、旧カウザイ区、旧タイホー区などが含まれる。
さらに、政府は2028年1月1日をめどに、第二段階として、ガソリンエンジン車(バイク・自家用車)の環状1号線および環状2号線内での利用を制限する計画だ。その後、2030年までに制限区域を環状3号線まで拡大し、段階的にエリアを広げていく方針だ。
これに先立つ2024年12月、同市人民評議会が「低排出ゾーン」の設立を可決した。政策の具体化に向けて、2025年7〜9月中に詳細な運用計画が策定・公表される見通しだ。制度導入後は、電動車両やクリーンエネルギー車、環境性能の高い車両、あるいは行政による通行許可を得た車両のみの通行を許可することになっている。
また、ディーゼル燃料を使用する大型トラックの環状1号線内への乗り入れも全面的に禁止され、基準を満たさない一般車両(自動車:ユーロ4未満、バイク:レベル2未満)には時間帯や地域ごとの通行制限が課される可能性がある。このほか、低排出ゾーンを通行する車両には、通行料や環境使用料の徴収が検討されている。
グリーン化への移行を進めるため、政府および市当局は、低排出ゾーン内に居住・勤務する市民や運輸事業者に対し、電動車両を含むクリーンエネルギー車両への転換を支援する政策を順次導入する予定。政策の試験段階として、2025~2030年の間に旧ホアンキエム区と旧バーディン区の一部地域で低排出ゾーンの試行を行い、2031年以降は基準を満たす全地域を対象に、制度を本格実施する計画だ。