ホーチミン市1区にある青年文化会館の路上では最近、さわやかな笑顔と黒光りする筋肉ボディのイケメンがスイカを売る姿が目撃され、SNS上などで話題になっている。気になるのは、時代劇に出てくるような腰巻だけを身に着けた上半身裸の出で立ちだが、これはベトナムの伝説で語り継がれている「マイ・アン・ティエム王子」のコスプレだった。
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マイ・アン・ティエムは伝説上の王「フン王」の養子だが、とある誤解から一家ごと島流しの刑を受けた。王子は小島で鳥が落とした種を見つけると、美味しいスイカを育てて、それを売ることで裕福になった。その後は誤解も解け、フン王は一家を呼び戻したと伝えられており、スイカは繁栄の象徴となった。
腰巻姿で両手にスイカを持ったマッチョな男性が青年文化会館前で売り文句の口上を述べると、道行く人々から大いに注目を集め、SNS上でも「カッコいい!」「イケメン」とのコメントが寄せられた。
この男性は、韓国人のイ・ウォンさん(40歳)で、7区でジムを経営しているという。マイ・アン・ティエムの物語を知って、見知らぬ土地で逆境の中でも挫けずに頑張るところが自分自身と重なると思い、ジムの広告写真撮影でマイ・アン・ティエムのコスプレをすることに決めた。
イさんはインタビューで、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で今年のテト(旧正月)は帰国できず、家族とも会えないが、ベトナムのテトを体験するのは貴重な思い出になる。テト中は妻と一緒に地方を旅行するつもりだったが、COVID-19の市中感染が拡大しているため、自粛する」と語った。