華人系不動産大手を巡る違反事件で起訴状発行、13人に極刑の可能性

2023/12/18 16:59 JST配信
  • 全国に激震が走った華人系不動産違反事件
  • 資産横領等に問われた13人が極刑可能性
  • 7.4億円収賄の調査リーダーも起訴

 華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の違法社債発行やVTPと密接なコネクションがあるサイゴン商業銀行(SCB)による銀行業務違反などに関する事件で、ベトナム最高人民検察院はこのほど起訴状を発行した。

イメージ写真
イメージ写真

 同事件は、VTP会長のチュオン・ミー・ラン容疑者(女・67歳)が、経営支配権を掌握していたSCBを介して国民や企業から資金を調達し、不動産投資などの名目でSCBにVTP系列企業向けの違法融資を行わせ、同行に多額の被害をもたらしたというもの。

 同事件では、86人の容疑者が起訴されており、この中には海外逃亡して指名手配されている複数の容疑者も含まれる。

 このうちラン容疑者は、◇資産横領容疑、◇金融機関における融資規定に違反した容疑、◇贈賄容疑で起訴された。資産横領罪については、刑事法第353条第4項で規定されており、最大の量刑は死刑。ラン容疑者は反省の意を示さず、捜査にも協力的ではなかったという。

 ラン容疑者だけでなく、他の容疑者11人についても資産横領容疑で起訴され、出廷することとなる。

 また、SCBの調査を統括していたベトナム国家銀行(中央銀行)第2調査監視局長のドー・ティ・ニャン容疑者(女・57歳)は、収賄容疑で起訴された。ニャン容疑者が賄賂として受け取った額は520万USD(約7億4000万円)に上った。刑事法第354条第4項によると、こちらの量刑も最大で死刑となっている。

 なお、捜査結果によると、ラン容疑者は2011年、◇SCB、◇ティンギアバンク(Tin Nghia Bank) 、◇フィコムバンク(Ficombank)が統合する形で誕生した新生SCBの経営支配権を掌握。SCBの資本金は2012年1月1日時点の10兆VND(約590億円)から15兆VND(約880億円)に引き上げられた。

 ラン容疑者は逮捕までに複数の個人・企業の名義を介してSCB株85.0%~91.5%を保有。同容疑者はSCB経営に直接参加していなかったが、同容疑者の側近らがSCBの要職を務めていた。残るSCB株は小口株主約4000人が保有している。

 VTPは国内外にペーパーカンパニーを設立する形で1000社以上の系列企業を保有。ラン容疑者の指示のもと、SCBは担保資産を審査せずにVTP系列企業に違法融資を繰り返し実施。VTP系列企業は債務不履行となっており、SCBは多額の不良債権を抱えてしまった。融資金や利息などを含めたラン容疑者らがSCBにもたらした被害総額は415兆VND(約2兆4000億円)に上るとされる。

 SCB構造改革の一環として、ベトナム国家銀行(中央銀行)は2017~2018年、同行の全面調査を実施すべく、組織横断調査隊を発足。調査隊は、◇中央銀行、◇政府監査委員会、◇国家財政監視委員会、◇国家監査委員会の幹部から成り、ニャン容疑者が調査隊のリーダーを務めた。

 ニャン容疑者らは調査の際、SCBが債務超過となっていること、SCBでのラン容疑者の実際の保有率、VTP系列企業に対するSCBの違法融資を発見したにもかかわらず、賄賂を受け取ることで見て見ぬふりをした。組織横断調査隊が不良債権などSCBの財務データを改ざんして調査結果を操作したため、中央銀行はSCBの実態を把握し、ラン容疑者らの違反を早期に阻止することができなかった。

 SCBでは、2022年10月にタンベト証券(TVSI)の会長 兼 社長でSCB取締役を務めていたグエン・ティエン・タイン氏(男性・当時49歳)が脳卒中で急死。さらにVTPのラン会長が社債発行をめぐる詐欺・資産横領容疑で逮捕されたことを受け、多くの預金者がSCBに殺到するなど混乱が起きていた。SCBは2022年10月から特別監視措置を受けているが、中央銀行によると、SCBの状況は制御下にあり、徐々に安定しつつあるという。

 

© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 財政省は、会計監査違反に対する取り締まりを強化し抑止力を高めるべく、独立監査法改正草案について、...
 華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)およびVTPと密接なコネクションがあるサイゴン商業...
 ホーチミン市人民裁判所は11日、華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の違法社債発行や...
 華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の違法社債発行や、VTPと密接なコネクションがある...
 華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の違法社債発行や、VTPと密接なコネクションがある...
 南中部高原地方ラムドン省人民委員会のチャン・バン・ヒエップ主席(男・59歳)が2日、公安省傘下の密輸...
 ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長は22日午前、政治局傘下の腐敗防止中央指導委員会常務部の...
 華人系の不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の違法社債発行およびサイゴン商業銀行(SCB)によ...

新着ニュース一覧

 ベトナムで国内初の炭素取引所が6月末に試行稼働したものの、初日の取引以降、1か月余りにわたり新たな...
 電子機器受託生産(EMS)で世界最大手の台湾フォックスコン・テクノロジー・グループ(Foxconn Technology...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 政府は8月1日、産業クラスターの管理・開発に関する政令第32号/2024/ND-CPの一部を改正・補足する政令...
 烈士(戦死者)の遺骨の捜索・収集は、ほとんどの場合、ほんのわずかな手がかりから始まる。その手がかり...
 内務省は、2026年のベトナム文化の日および2027年のテト(旧正月)と建国記念日に伴う休暇について、日程...
 教育訓練省は、東北部地方トゥエンクアン省のトゥエンクアン英才高校の試験会場における2026年高校卒業...
 VIETJOベトナムニュースが2026年7月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:
 財政省傘下統計局(NSO)の発表によりますと、2026年4~6月の国内総生産(GDP)成長率(推定値)は前年同期比...
 南中部地方ダナン市人民委員会は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進およびデジタル経済の発...
 クラフトチョコレートの製造や販売を手掛けるザ・ココア・プロジェクト(The Cocoa Project)は、ホーチ...
 東北部地方クアンニン省のクアンイエン沿岸経済区で、ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)が総額約5...
 ハノイ市のノイバイ国際空港は、車両の混雑緩和を目的に3日から導入した新たな車両動線計画について、...
 英国・ロンドンの高等法院は、ベトナムのアニメ制作会社であるSコネクト(Sconnect)が制作する人気アニ...
 南中部地方ダナン市で3日、国際ミスコンテスト「ミス・ヘリテージ・グローバル2026(Miss Heritage Glob...
トップページに戻る