川底の遺体捜しを「家業」とする3兄弟、無報酬で引き受け

2013/07/07 07:36 JST配信

 「初めて遺体の腕に触れた時、身の毛がよだつほど恐ろしくてこんなことは2度としたくないと思いました。でも父から『冷たい水底に横たわる気の毒な遺体を家族に返すことは福を成すことだ。恐れることはない』と諭されました」とセットさんは振り返った。

(C)Laoo dong,Dang Khoa、グエン・バン・セットさん
(C)Laoo dong,Dang Khoa、グエン・バン・セットさん

 セットさんが今でもはっきり覚えているのは、1988年に起きた橋の崩落事故で、児童多数を含む40人の遺体を引き揚げた時のことだ。橋の下で行なわれていた遺体の検死を見物しようと、大勢の人が押し寄せたため橋が落ちてしまった。要請を受けた3兄弟は力尽きるまで働いたが、とうとう1人の子供だけ見つからなかった。数日後、子供の遺体は自然に浮いて発見されたという。

 3兄弟のことはいつの間にか知られるようになり、近隣の各省からも要請が来る。行き帰りの交通手段、食事、宿泊所さえ手配してくれれば、喜んで引き受けている。自分達で購入した空気ポンプなどの装置のおかげで、仕事は以前よりずいぶん楽になったという。

 この家業は彼らの子供や孫達にも引き継がれている。引退を考えていますかとの問いに、セットさんは笑ってこう答えた。「呼ばれればすぐに駆けつけます。断ることなんてできませんよ。幸いこの2年ほど、水死者が減って暇な時間ができました。ずっと暇なままでいることを願っています」

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