お金があっても手に入らない「本物の蓮茶」ができるまで

2014/10/05 06:11 JST配信

 スオンさんは蓮の花が咲くシーズンになると、タイ湖の一角で育てられている蓮の花をまとめて1億VND(約55万円)で仕入れる。蓮畑の管理人は毎朝、花びらがまだ開いていない蓮の花を選んで摘み取る。そして1日合計数千輪もの蓮の花を売るのだという。数年前は、1輪当たり6000VND(約31円)程度で販売していたが、今では10輪ずつまとめて数十万VND(10万VND=約518円)で販売することで、より高い利益を上げているという。

(C) vietnamnet 早朝から蓮の花を仕入れる
(C) vietnamnet 早朝から蓮の花を仕入れる
(C) vietnamnet 「ガオセン」を手作業で取る
(C) vietnamnet 「ガオセン」を手作業で取る
(C) vietnamnet 「ガオセン」を手作業で取る
(C) vietnamnet 「ガオセン」を手作業で取る
(C) vietnamnet お茶の葉と混ぜて熟成させる
(C) vietnamnet お茶の葉と混ぜて熟成させる

 しかし近年、蓮の花が満開になったタイ湖は市民たちの「撮影スポット」として、蓮の花を背景に写真撮影をするカップルや若者などで溢れる。こうした風潮を受けて、蓮畑の管理人は蓮茶作り用の蓮の花の販売を抑えて、より利益の高い写真撮影サービスの提供に力を入れる傾向にある。毎日写真撮影のために数百人が訪れるため、撮影スポットへの入場料や個人向けの蓮の花の販売などで得られる収入は決して少なくない。

 また、最近は個人で簡単に作れる「自家製蓮茶」が広まりつつある。「自家製蓮茶」は、蓮の花の中にお茶の葉を詰めて、1~2日間熟成させるだけ。販売されているものよりも安く、簡単に作ることができ、しかも自分の手で作業をするため「清潔」だからという理由で人気を集めている。蓮畑の管理人は早速トレンドに乗り、管理人自らこの「自家製蓮茶」を作って、茶葉入り蓮の花1輪当たり5~8万VND(約259~415円)で販売している。

 こうした蓮茶作りの現状についてスオンさんは、「本物のタイ湖の蓮茶は、天然の蓮の花から香りをつけたもので、香りを長く保つことができる。一方で現在流行している『自家製蓮茶』は、冷蔵庫で保管しようとすれば品質は変わってしまうし、健康に良い効果もなくなってしまう」と語る。スオンさんは、近年の新たな文化や風潮に合わせようとすることで、伝統的な蓮茶作りの文化が失われつつあることを危惧している。

前へ   1   2   3   次へ
[Kien Trung, Vietnamnet, 02:00 (GMT+7) 08/09/2014, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市で2日に開催された「タイ湖の文化的価値の保存と活用」と題したセミナーで、タイ湖の自然的価...
 都心にありながらも、まるで農村のように静かで落ち着いた雰囲気を持つハノイ市のタイ湖は、毎年、蓮の...

新着ニュース一覧

 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版...
 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の...
 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は
 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)...
 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に...
 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地
 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行...
 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販...
 ベトナム発のITソリューション企業であるカオピーズ(Kaopiz、ハノイ市)と、東南アジア市場における医療...
 米グーグル(Google)と財政省傘下のベトナム国家イノベーションセンター(NIC)は18日、ベトナム国内での...
トップページに戻る