お金があっても手に入らない「本物の蓮茶」ができるまで

2014/10/05 06:11 JST配信

 蓮茶作りは、早朝に蓮の花を買い付けに行くところから始まる。スオンさんは朝5時に起きて、タイ湖の蓮畑へ向かう。蓮の花を持ち帰ったら、外側にある花びらを剥がし、おしべを取る。次に、おしべから、蓮茶作りの主な原料となる白いガオセン(「蓮の米」、おしべの先ぶあるやくの部分と花の内側の小さな花びら)を取っていく。もちろん全て手作業だ。そして、取り終えたガオセンとお茶の葉を混ぜ合わせて、紙の蓋をして1日熟成させる。その後、蓮茶の品質や香りを長く保つため、一定の温度で乾燥させる。蓮の花200輪から、2日かかってやっと1kgの蓮茶ができるという希少さだ。

 また、蓮茶作りに用いられるお茶の葉は、西北部ソンラ省のタスア茶や東北部タイグエン省のタンクオン茶といった、有名な産地で調達したものでなければならない。更に、蓮茶作り用の蓮の花は、日の出前に摘んだ、花びらがまだ大きく開いていないものだけを選ぶ。蓮の花は、花びらが開くと独特の良い香りが飛んでしまうためだ。

 蓮茶作りへのこだわりは、それだけではない。蓮茶を作る人は清潔でなければならず、かつては「月経中の女性は蓮茶作り用の蓮の花を摘んではならない」とされていた。洗練された文化の物忌みとして不文律になっていたというが、この考え方は今ではもうほとんど残っていない。

 タイ湖の蓮茶作りを専業にする人々にとって、最大の問題は原料となる蓮の花の供給が不足していることにある。タイ湖は広いが、このうち蓮畑は面積の小さい区画がたった4~5か所あるだけ。また、蓮の花が咲くシーズンは約3か月間しかないため、蓮茶の原料調達は極めて難しいのが現状だ。

 スオンさんは、「国内には様々な種類の蓮の花があるが、タイ湖で育てられた蓮の花の香りに及ぶものはない。タイ湖の蓮の花で香りをつけた蓮茶は、他のどんな蓮茶にも勝る『本物の蓮茶』なんだ」と話す。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市で2日に開催された「タイ湖の文化的価値の保存と活用」と題したセミナーで、タイ湖の自然的価...
 都心にありながらも、まるで農村のように静かで落ち着いた雰囲気を持つハノイ市のタイ湖は、毎年、蓮の...

新着ニュース一覧

 店主の一家が次々とこの世を去った後、フン・リンさん(女性)とゴック・リエンさん(女性)は、市場の路地...
 ベトナムの株式市場が21日付けで、インデックス開発大手の英FTSEラッセル(FTSE Russell)による市場分類...
 ベトナムで18日、米アップルの「iPhone 18」シリーズが発売され、全国の主要販売店で初日に数万台が事...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 インドの旅行雑誌「トラベル・アンド・ツアー・ワールド(Travel And Tour World=TTW)」が先般発表した...
 英国タイムアウト誌(Time Out)は16日、毎年恒例の「世界で最もクールな街トップ40(The 40 Coolest Neig...
 建設省は、外国の組織および個人の住宅所有権に関する規定の見直しを進めている。住宅法改正案で、外国...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、ベトナムの石炭火力発電所で...
 日本全国で「イオンシネマ」を運営するイオンエンターテイメント株式会社(東京都港区)などが出資するイ...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の
 韓国の教育企業であるハンエデュテック(Han Edutech)内のOK-TEST職業韓国語能力試験委員会はこのほど、...
 地場タクシー大手のビナサンタクシー[VNS](Vinasun)はこのほど、不動産開
 政府は9月3日付で、外資系投資家および外資系経済組織の物品売買・関連活動を規定する政令第342号/2026...
 地場のフィットネスチェーン大手であるシティジム(Citigym)は、全社的な事業再編に伴い、10月1日付けで...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)系の電
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計(推計値)によると、2026年8月の訪日ベトナム人数は前年同月比▲7.5...
トップページに戻る