配給時代の「ビアホイグラス」、40年間の歴史

2017/09/24 04:58 JST配信

 ある日、バンさんは「ハノイビール」専用のグラスのデザインを命じられた。1時間でデザインを描き、3日後には実物ができあがった。初めての「ビアホイグラス」は1976年に生まれた。廃棄物の青いガラス製で、縁が広がり、底が厚く、凹凸があって握りやすく重ねやすいものだった。1個500VNDで、唯一内商省がこのグラスを購入し、配給の店に流通することができた。

 40年余りの間、バンさんは翻訳やデザイン、教員など様々な仕事に就き、後にハノイ工業芸術大学の副学長になった。そしてバンさんがデザインしたビアホイグラスも配給の店からハノイ市のローカル酒場へと広まっていき、数々の伝統的な製品が消え行く中でも今なおハノイ市民に親しまれている。

 ビアホイグラスはいくつものガラス工場で同時に生産されるため、サイズはまちまちだ。また、当初のビアホイグラスはちょうど500mlだったが、時間の経過とともに小さくなり、今はかつての3分の2ほどのサイズになっている。

 ビアホイグラスの価格は当初500VND、後に2000VNDに値上がりし、現在は6500VNDとなっている。今、グラスは紅河デルタ地方ナムディン省ナムチュック郡ナムタイン村の「ガラス村」として知られるソイチー村の各世帯で1日あたり約1500個が生産されている。

 バンさんは、「ハノイ市民がビールを飲むのは、ビールが好きだからではなく、仕事の後の暑い午後に友人とあれやこれやとしゃべりながら路上に座っている空気が癖になるから」だと語る。

 現在の人々は、取っ手がついた透明なガラス製のグラスやガラスそっくりのプラスチック製グラスでビールを飲んでいる。しかし、青いガラス製のビアホイグラスも多くのローカル酒屋でまだ使われている。ビアホイグラスは、苦しかった時代の人々の記憶の一部として刻まれているのだ。

前へ   1   2   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市は、国内大手ビールメーカーであるハノイビール・アルコール飲料[BHN
 16時、#nolinkブイ・タイン・ソンさん(男性・77歳)は、カウンターでピッチャー2杯のビアホイ(生ビール)...
 ドイモイ(刷新)前、1976年から1986年ごろのベトナムは、「配給(バオカップ=Bao cap)時代」。当時、家...
 地場系大手のカフェチェーン「CONG ca phe (コンカフェ)」の韓国1号店が7月31日、ソウル特別市麻浦区延...
 地場系大手のカフェチェーン「CONG ca phe (コンカフェ)」の韓国1号店が31日、ソウル市ヨンナムドン(延...
 ハノイ市の食糧事情が厳しかった時代、人々は配給の物品を扱う店に列をなした。食料を得るために国中が...

新着ニュース一覧

 店主の一家が次々とこの世を去った後、フン・リンさん(女性)とゴック・リエンさん(女性)は、市場の路地...
 ベトナムの株式市場が21日付けで、インデックス開発大手の英FTSEラッセル(FTSE Russell)による市場分類...
 ベトナムで18日、米アップルの「iPhone 18」シリーズが発売され、全国の主要販売店で初日に数万台が事...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 インドの旅行雑誌「トラベル・アンド・ツアー・ワールド(Travel And Tour World=TTW)」が先般発表した...
 英国タイムアウト誌(Time Out)は16日、毎年恒例の「世界で最もクールな街トップ40(The 40 Coolest Neig...
 建設省は、外国の組織および個人の住宅所有権に関する規定の見直しを進めている。住宅法改正案で、外国...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、ベトナムの石炭火力発電所で...
 日本全国で「イオンシネマ」を運営するイオンエンターテイメント株式会社(東京都港区)などが出資するイ...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の
 韓国の教育企業であるハンエデュテック(Han Edutech)内のOK-TEST職業韓国語能力試験委員会はこのほど、...
 地場タクシー大手のビナサンタクシー[VNS](Vinasun)はこのほど、不動産開
 政府は9月3日付で、外資系投資家および外資系経済組織の物品売買・関連活動を規定する政令第342号/2026...
 地場のフィットネスチェーン大手であるシティジム(Citigym)は、全社的な事業再編に伴い、10月1日付けで...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)系の電
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計(推計値)によると、2026年8月の訪日ベトナム人数は前年同月比▲7.5...
トップページに戻る