ベトナム映画「サイゴン・クチュール」日本公開、グエン・ケイ監督インタビュー

2019/12/15 06:00 JST配信

―――一方で、監督ご自身が手掛けた中で印象的な作品は何ですか。

© STUDIO68
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自分が監督した中では、今年の7月に撮影した作品が特別です。主人公は元々男性で、性転換をして女性になるという実話で、本人がこの話を持ってきてくれたのですが、こういうテーマってセンシティブで、どうしてもゴシップっぽくなりがちですよね。でもそうじゃなくて、コメディタッチでヒューマニズムっぽいものにしたい、そうすればもっと魅力的になる、と思ったので、彼女の話を少しだけ作り変えました。

主人公はスタントマンで、男性なんだけれど女性になりたいという夢がある。でも、殺人現場を目撃してしまい逃げるのですが、見つからないように性転換をする、という話です。この作品は、映画人としての自分に変化をもたらしてくれたわけですが、まずテーマが特別だということ、そして伝えたいことがチープにならないように描くということ。そして、主人公を魅力的に描くということ。観た人にそういうことを伝えるという点が、私にとってとても大きなテーマになった作品です。

映画は2020年のバレンタインの時期に公開される予定です。「自分の人生、自分が運命の主人公になりたければ、変えるために立ち上がろう」というのがこの映画に込めたメッセージ。英語で「When life gives you lemons, make lemonade.(人生にレモンを与えられたなら、レモネードを作りなさい。)」という言葉があって、要するに悪いことがあればそれを良いことに変えましょうという意味なのですが、私は「レモンを与えられたなら、オレンジジュースを作りましょう」というメッセージを伝えたいですね。

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―――「サイゴン・クチュール」の話題に戻りますが、続編としてパート2とパート3を考えていらっしゃるとのこと。続編の構想を教えてください。

パート2は、「カリフォルニア・クチュール」です(笑)。これも主人公の成長物語です。アメリカに住んでいる越僑(在外ベトナム人)の女の子が主人公で、お母さんを亡くしていじわるなおばさんと一緒に住んでいるのですが、彼女自身まだ自分が使える「魔法」を知らない、という話。魔法っていうのは、実は代々家に伝わっているアオザイ作りのことなのですが、ベトナムに帰って、母方のおばあちゃんのゴーストに出会い、アオザイ作りを教えてもらうんです。

パート3は、「運命の出会い」がテーマです。日本とイタリアのハーフの女の子と、ベトナムとフランスのハーフの女の子が偶然出会う。日系の子は着物、越僑の子はアオザイの技術が家に代々伝わっているのですが、それぞれ着物が嫌い、アオザイが嫌い。そんな中、2人は京都で偶然出会い、着物の縫い方を学ばなければならない、という状況に陥ります。というのはつまり、昔の京都にタイムトラベルしてしまうんです(笑)。

パート2は2020年3月に撮影して、11月ごろにはできるかな。ちょうど1年後にパート3が完成する予定です。

ベトナムでは特に、映画の世界というと男性社会なのですが、デザイナーのトゥイ・グエンさんに言われたんです。「もしチャンスがあるなら残しておいちゃだめだ」と。今回この「サイゴン・クチュール」が成功したのだから、つながりを大事にして、チャンスを逃さず続けなさい、とアドバイスをもらいました。続編も楽しみにしていてください!

――――――

グエン・ケイ監督プロフィール

グエン・ケイ(Kay Nguyen)

脚本家として活躍し、米国、日本(NHK「kawaii project」)、英国で映像分野の実績を積んだ後、ベトナムへ帰国。2013年にチャーリー・グエン(Charlie Nguyen)監督の「Teo Em」が大ヒットし、同年に脚本家集団「A Type Machine(エー・タイプ・マシン)」を創設。ゴ・タイン・バン主演のアクション映画「ハイ・フォン」には脚本として参加し、歴代興行収入を塗り替える。一大ブームを引き起こした「サイゴン・クチュール」では脚本と監督を担当。直近ではヴィクター・ヴー(Victor Vu)監督の「Mat Biec」をプロデュースしている。

※脚本家集団「A Type Machine(エー・タイプ・マシン)」

代表のグエン・ケイとオウズリーの女性2人を筆頭に、8人から成る。現在までに9本の作品の脚本を手掛け、いずれも興行収入トップの作品となっており、ベトナム映画の質の向上に大きく貢献している。

【あらすじ】

1969年のサイゴン。9代続いたアオザイ仕立て屋の娘ニュイは、「ミス・サイゴン」に選ばれるほど美しく、スタイルもファッションセンスも抜群。しかし、1960年代の新しいファッションに夢中で、アオザイを仕立てる母親とは対立していた。ところがある日突然、2017年にタイムスリップしたニュイは、変わり果てた自分の姿と店に対面する。母親が急逝した後に店が傾き倒産、生家も取り上げ寸前の状態だった。そこでニュイは自分の「人生」を変えるべく、現代のファッション業界に潜り込んで奔走する。そして次第にアオザイの魅力と母親の本当の想いに気づいていく―――。ニュイは果たしてなりたかった「本当の人生」を取り戻すことができるのか?

【予告編】

(※本記事はVIETJOベトナムニュースとベトナムエンタメ情報サイト「A-TIM’s(エータイムズ)」の合同取材によるものです。)

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