トランスジェンダーが集う「闇市」に潜入【前編】ホルモン剤の売買の実態

2021/01/17 05:49 JST配信

 またM.K.によると、こうしたホルモン剤はタイやインド、ドイツからハンドキャリーでベトナムに持ち込まれるという。「毎回、仲間たちの紹介でタイに渡って手術を受ける子が商品をベトナムに持ち帰って、皆で分け合うから安く済むの。今はこのタイプのホルモン剤もたくさんあるし、昔と違って安全よ」と付け加えた。

(C) vietnamnet
(C) vietnamnet
(C) vietnamnet
(C) vietnamnet

 しかし、こうしたホルモン剤を購入しても、専門家から正しい使用方法などを教えてもらえるわけではなく、売り手や経験者に話を聞いてアドバイスを受けるしかない。

 リン・ダンさんはこう語る。「暇なときは売り手のところに行って、注射してもらいます。相手が忙しければ、自分で打つこともあります。タイ製のホルモン剤を使い始めて4か月が経ちますが、良い感じです。初めて注射を打った後は、注射したところが腫れ、けいれんや熱の症状が出て怖かったのですが、今は薬に慣れてもう大丈夫です」。

 一方、薬剤師のグエン・タイン・ホアイ氏は、「多くの性転換者、または性転換を望んでいる人が、自分でホルモン剤を購入して注射しようとしますが、製造元の不明な薬を使ったり、正しい用法・用量を守らなかったり、薬を扱う際に菌が混入してしまったりすれば、とても危険です。処方箋や医師の経過観察もなく薬を注射すれば、予期せぬ事態が生じるかもしれませんし、用法・用量を誤れば死に至る可能性だってあります」と指摘する。

 ホルモン療法は複雑で、生涯にわたって副作用が出るかもしれず、命の危険にさらされる可能性すらある。そのため、ホルモン療法を行っている人々は、定期的に検査を受け、医師のフォローアップを受ける必要があるのだ。

後編に続く

前へ   1   2   3   次へ
[Vietnamnet 05:10 29/12/2020, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 国連女性機関(UN Women)とトランスジェンダーの権利擁護団体「It’s T Time」はハノイ市で24日、「トラ...
前編はこちら  トランスジェンダー

新着ニュース一覧

 商工省傘下のベトナム電力グループ(EVN)は同省承認のもと、平均電気料金の引き上げに関する決定を発表...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 北部紅河デルタ地方ハイフォン市で5月11日朝、ハイフォン市解放70周年(1955年5月13日~2025年5月13日)...
 ハノイ市人民委員会は、チーナムグループ(Tri Nam Group)の傘下でシェアサイクル事業を手掛ける(Tri Na...
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら  パリ:本場バ
 デジタル・フォレンジック(電子鑑識)事業などを手掛ける韓国のIJBはこのほど、ハノイ市に研究開発セン...
 台湾のBEI KE YUANテクノロジー(BKY)社は8日、北部紅河デルタ地方ニンビン省ニョークアン郡のバンフォ...
 北中部地方タインホア省文化遺産保存・歴史研究センターは7日、ラムキン(Lam Kinh)特別国家級遺跡群に...
 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)を記念したホーチミン市での軍事パレードの成...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 米コーヒーチェーン大手スターバックス(Starbucks)は8日、ハノイ市ホアンキエム区にあるハノイ郵便局ビ...
 ホーチミン市教育訓練局はこのほど、市内の公立学校に勤務する約5万人の教員を対象に実施した英語能力...
 南部メコンデルタ地方ビンロン省警察は、2024年9月4日にチャーオン郡(huyen Tra On)を通る省道901号線...
 ホーチミン市バンラン大学(VLU)は9日、在学生が退役軍人に無礼で不適切な言動をとったとして世間から批...
トップページに戻る