注文すると1人しかいない調理担当の女性が手際よくぱっと作り、2~3分程度で出してくれる。片手でも食べやすいよう紙にくるまれているので、学生も食べながら店を出ていった。間を開けず、フランス人女子学生が2人入ってきて、バインミーを1つずつ注文。その後も小さな店に学生がどんどん入ってきて、たちまち次から次へと注文・テイクアウトの大にぎわい。押し寄せる学生たちにひるまず主人がうまくさばき、女性がさっと作って出す。阿吽の呼吸とはまさにこのこと。繁盛店の昼の光景はとても忙しく、しかし小気味よい。
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黙々と手際よくバインミーを作り続ける女性
学生たちが向かう先が、近くのごく小さなラウンドアバウトだ。この中央のスペースでベンチや地べたに座り、仲間同士でバインミーをほおばっている。真似して青空の下で食べてみると、「ボンジュール・ベトナム」人気の理由が分かった。さっくりとした新鮮なバゲットは、さすがフランスといったところ。そこに、存在感ある濃いめの味付けの豚チャーシュー、口の中をさっぱりとさせるキュウリやなますと、味の調和のとれた具材が挟まれている。ほんの少しだけピリ辛のたれが食欲をそそり、一気にたいらげてしまった。
昼時は、カフェに囲まれたラウンドアバウトでバインミーを食べる人が多い
5区をさらにぶらぶらしてノートルダム大聖堂方面へ向かうと、ベトナム系スーパーがあった。店頭幕にはベトナム・タイ・日本と書いてあるが、実際はベトナム商品が約8割で品ぞろえ・量共に豊富。特に伝統茶菓子は売れ残りが心配されるほど積みあがっていたが、商品を手に取って熱心に品定めしているベトナム系の女性がいたため、現地での需要もあると思われる。フランス菓子は味の良さで有名だが、たまに東洋的な甘味も欲しくなるのかもしれない。
スーパーは品ぞろえが非常に豊富で、南部メコンデルタ地方キエンザン省のフーコック産ヌックマムなど地方の商品もそろえる