ハノイ郊外の村落で口承される独自の「隠語」、200年の歴史

2026/03/22 10:12 JST配信

 「職業がなくなれば、言葉も失われてしまうのではないかと恐れています」と、村落長のグエン・バン・トゥエンさん(男性)は嘆く。1500人の人口のうち、現在もトイスオンを流暢に話せるのはわずか40%程度で、その大半が50歳以上だ。

(C) VnExpress
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 現在でも高齢者たちはこの言語を記憶しているが、多くは健康状態が思わしくなく、移動やコミュニケーションが制限されているため、使用する機会も限られている。また、進学や出稼ぎで故郷を離れた若者たちは、トイスオンを聞いて理解することはできても、積極的に使うことはない。

 「隠語はもともと口承の言語なので、実際のコミュニケーションで使用する環境がなければ、『馬に乗って花を見る』ようなもので、表面的な理解にとどまってしまいます」とトゥエンさんは語る。

 トイスオンが途絶える危機を感じた文化情報省(現在の文化スポーツ観光省)は2006年、村落の高齢者たちに語彙の収集と編纂を依頼し、書籍として出版した。2007年に出版された「ダーチャット村落の民間文化(Van hoa dan gian lang Da Chat)」という書籍には、200以上の隠語の発音が記録されている。

 そして2016年、ダーチャット村落のトイスオンは、ハノイ市の無形文化遺産に登録された。

 2025年末に更新された無形文化遺産目録によると、ダーチャット村落の隠語の起源は19世紀初頭で、これは阮(グエン)朝(1802~1945年)の地理書「大南一統志(Dai Nam nhat thong chi)」に記されている籾すり臼作りの職業が発展した時期とも一致する。

 最初は職業上の活動を説明するための専門用語だったが、その後、生活のあらゆる場面へと広がっていった。言語学の専門家やハノイ市文化スポーツ局はこれまでに何度も調査を行い、トイスオンは高い歴史的価値を持つ、ベトナムでも唯一無二の貴重な遺産であると評価している。

 ギンさんやフオンさんのような人々にとって、隠語は単なるコミュニケーションの手段ではない。「慌ただしい日々の生活の中で、トイスオンのちょっとした挨拶や忠告が飛び交うことは、ここが首都で最も貴重な遺産の1つであることを思い出させてくれるんです」とギンさんは語った。

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