南中部沿岸地方クアンナム省ホイアン市の旧市街を通る主要道路の1つであるチャンフー(Tran Phu)通りに、小さなハーブティー店「モットホイアン(Mot Hoi An)」がある。「モット」は店主のグエン・フー・スアンさんが幼いころに家族に呼ばれていたニックネームだ。「当初は別の店名も考えていましたが、最後にはモットを選びました。ベトナム人だけでなく外国人にも覚えやすく親しみやすいでしょ」とスアンさん。
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ハーブティーは1杯1万VND(約49円)で、ハーブの香りにほのかな甘みが加わりさっぱりとしていて、蓮の花びらと茶葉が添えられ目にも美しい。店のレイアウトも、古民家の店先にたくさんの鉢植えが並べられ、伝統的な中に自然やモダンさもあり、オープンから2年と日が浅いものの既に観光客にとっては外せない訪問地になっている。
スアンさんはハーブティーの配合を決める際に、観光客が旅先の料理を食べ消化不良や腹痛を起こすことから、お腹を温め、かつ消化に良い原料を考えた。そこで、同店のハーブティーは緑茶をベースに生姜、レモングラス、ライム、桂皮など陰と陽、温と涼の要素を持ち、身体のバランスを整える原料が使われている。そのため、このハーブティーには安眠効果があるほか、喉を潤し涼しく感じる一方でお腹は温かくなり消化を助ける効果もあるという。
スアンさんの実家は同じ通りにあり、100年続く漢方薬局を営んでいるため、モットのハーブティーは美味しいだけでなく、身体に良い原料を研究し尽くした配合になっているのだ。
スアンさんは大学卒業後、旅行業や教育などの職につきながらも自宅のある旧市街で飲料店を開きたいと考えていたという。そして、近年は自然食品やハーブなど健康志向の人が増えていることから、観光客を誘致できるようベトナムの伝統を維持しつつ、ベトナム人の若者にも親しみが持てるハーブティー店が誕生した。
当初は屋台でハーブティーを販売していたが、歩道での屋台が禁止されてから自宅での経営に切り替えた。現在ではハーブティーのほか、バインミー(ベトナム風サンドイッチ)やカオラウ(ホイアン名物の汁なし麺)、チキンライス、ワンタン、蓮の実のチェー、豆腐のチェーなど食事も提供している。