ベトナムほどコーヒー文化が根付いている国は世界広しといえど滅多にお目にかかれない。街中にはおしゃれなコーヒーショップや路上の喫茶店が溢れており、老若男女が思い思いにコーヒーを楽しんでいる。コーヒー輸出量は世界トップで、自他共に認めるコーヒー大国だ。今日はそんなベトナムコーヒーの歴史を紹介しよう。
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ベトナムでコーヒー栽培が始まったのは17世紀から18世紀にかけて、ポルトガル、スペイン、オランダ、フランスの宣教師がベトナムで布教を行った際に持ち込んだことが始まりとされている。ただし、これらは小規模な栽培にすぎず、大規模に生産されだしたのはフランスがベトナムの占領を開始した1857年以降とされる。
フランスは1789年のフランス革命まで世界の主要なコーヒー生産国で、主に植民地だったカリブ海の島々で生産していた。ベトナムでは1862年にトゥドゥック(嗣徳)帝から東部3省の割譲を受け、その2年後にはサイゴン(現在のホーチミン市)に植物園を設立して、コーヒーの試験栽培を始めている。
フランスが試したのは、ベトナムと気候や土壌の性質が似ているカリブ海のマルティニーク島と南米のギアナで栽培していたアラビカ種。1884年に占領した北部(トンキン)で栽培を開始し、その後中部に拡大していった。収穫後のコーヒーは「アラビカ・ドゥ・トンキン」のブランド名でフランスに輸出された。