原告の越僑男性がカジノに賞金約5550万ドル(約48億円)の支払いを求めていた裁判で、ホーチミン市1区人民裁判所は7日、カジノ側の「スロットマシンの故障」という主張を退け、男性に賞金全額を支払うよう命じた。7日付VNエクスプレスが報じた。
(C)tintucngaynay, サムさんが証拠として撮影したスロットマシンの画面(左上が賞金額) |
シェラトンサイゴンホテルとカジノを運営するダイズオン合弁会社を訴えていたのは米国籍のリー・サムさん(60歳)。 サムさんは2009年10月、シェラトンサイゴンホテル内にあるカジノ「パラッツォクラブ」の電子式スロットマシンで5554万ドル余りを引き当てた。カジノのマネージャーから「3日以内に賞金を払う」と言われたものの確約書への署名を拒否されたため、当たり額が表示されたスロットマシンの写真を撮影し、現場に居合わせた数人に証人として署名を得て証拠を残した。サムさんはその後何度も賞金を支払うよう要求したが、カジノ側は拒否し続けた。
カジノ側は、「サム氏がゲーム中にスロットマシンを手で殴ったことにより機械が故障した」と主張、証拠として当時のカジノ内を撮影したビデオと、スロットマシンの鑑定結果を提出した。
これに対し裁判所は、クラブ内の映像からは原告が機械の故障を引き起こしたという証拠は認められないとし、また裁判所と原告の同意を得ず行われたスロットマシンの鑑定結果を無効とした。カジノ側はこれを不服として、控訴する構えを示している。
カジノ賞金の支払いをめぐる訴訟はベトナムでは今回が初めて。インターネット上ではこの判決に関する書き込みが相次いでおり、注目度の高さが伺える。圧倒的に判決を支持する声が多いが、中には「賞金支払いで運営会社が経営破たんし、多数の従業員が失業するのでは」と心配する意見もあった。