鍛冶屋、刃物研ぎ師、時計職人…サイゴンの街角からこうした職人たちの姿が消えつつある。既に多くの職人が店をたたみ、生活のために他の職に就いている。
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レ・バン・チャウさんは、ホーチミン市10区で30年以上にわたって、自宅を兼ねた粗末なバラック小屋で鍛冶屋を営んできた。1990年代には、市内に40あまりもあった鍛冶屋はどこも繁盛し、夜通し働いていたが、2000年以降はオーダーに時間や費用が掛かるという理由で、客足がどんどん減っていったという。
40年以上の歴史を持つ「刃物研ぎ通り」こと5区チエウクアンフック(Trieu Quang Phuc)通りも、年々店が少なくなっている。各店舗では毎日、10件以上の注文を受けているが、1件当たりの研ぎ料金は5000~7000VND(約27~38円)に過ぎない。
かつて人気の仕事だった時計職人も、今では店を開いている職人はほんの僅かだ。フーニュアン区のグエンバンダウ(Nguyen Van Dau)通りとファンダンルウ(Phan Dang Luu)通りの交差点に店を構えるファン・タイン・ロイさんも、「客が少ないときは2、3人で、誰も来ない日だってあります。以前はこの辺りに40~50の時計修理店がありましたが、今も残っているのは3店舗だけ。みんな生きていくために、次々と転職していきました」と語った。