ホーチミン市第2小児病院で5月31日、ベトナム戦争時に米軍が散布した枯葉剤の影響で結合双生児として生まれた「ベトちゃんドクちゃん」の弟、グエン・ドクさんと妻子が、分離手術から30年の時を経て「第2の父」と慕うチャン・ドン・アー医師との再会を果たした。この度の再会は同病院の創立40周年を記念して実現した。
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ベトちゃんドクちゃんは1981年2月25日に南中部高原地方コントゥム省サタイ郡で結合双生児として生まれ、2人の分離手術は1988年10月4日にホーチミン市ツーズー産婦人科病院で行われた。
手術が行われた当時、アー医師はホーチミン市第2小児病院外科部長で外科チーム長として15時間に及ぶ分離手術に携わった。アー医師は、これまでに結合双生児が分離手術後に結婚し、子供をもうけた事例は世界でも他にないとし、ドクさん一家が幸せに暮らしていることが自身にとって何よりもの贈り物だと当時を振り返った。
一方でドクさんは、病院での職員としての勤務を通じて多くの患者を目にしてきたため、医療従事者の苦労は身に染みて感じており、アー医師をはじめとする手術に携わった人々のおかげで自分が生きていることは素晴らしいことで、「お父さん」をとても尊敬していると語った。
分離手術後、ドクさんの兄ベトさんは19歳で亡くなったが、ドクさんは順調に回復した。その後2006年に妻トゥエンさんと結婚、2009年には男女の双子が生まれた。双子はそれぞれ富士山と桜にちなみ、男の子が「グエン・フー・シー」、女の子が「グエン・アイン・ダオ」と名付けられ、現在は小学4年生になっている。
ドクさんは2017年5月に尿路感染症と水腎症を発症し、同市ビンザン病院で緊急手術を受けたが、経過は良好でツーズー病院平和村にも職場復帰している。
日越国交樹立45周年を迎える今年、ドクさんは訪日して2017年4月に客員教授に就任した広島国際大学(広島県東広島市)をはじめ、日本各地で平和や命の大切さについて講演する予定だ。