ハノイ市人民委員会傘下のハノイ下水排水社(Hanoi Sewerage And Drainage)が、市内の湖水浄化処理のためとして競売入札を行わずに同市共産党委員会前副書記 兼 同市人民委員会前主席のグエン・ドゥック・チュン被告(男・54歳)の裏会社から水処理薬品を高価格で購入した汚職事件で、市裁判所は13日、同被告に禁固8年の判決を下した。
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同事件ではチュン被告が主犯格として特定されており、刑事法第356条に抵触して公務執行にあたり職権を乱用した罪に問われていた。
同事件に関与したほかの被告2人について、Arktic社のグエン・チュオン・ザン社長(男)とハノイ下水排水社のボー・ティエン・フン社長(男)が共犯として特定され、それぞれ禁固4年6か月、禁固4年の判決を言い渡された。
民事責任について、裁判所はハノイ下水排水社への賠償金として、チュン被告に対し250億VND(約1億2400万円)、ザン被告に対し70億VND(約3500万円)、フン被告に対し40億VND(約1980万円)の支払いをそれぞれ命じた。
ハノイ下水排水社は2016年からチュン被告の指示のもと、市内の湖水浄化処理のためとして競売入札を行わず、ドイツのウォッチ・ウォーター社(Watch Water)に水処理薬品の製造を依頼したが、ウォッチ・ウォーター社からは直接購入せず、Arktic社を介して購入していた。
Arktic社はチュン被告の妻であるN・T・T・C・Hさんが設立した会社で、他人の名義を借りて運営していた。購入価格は水増しされ、このArktic社が360億VND(約1億7800万円)の不正利益を得ていた。
この不正取引が大々的に報道されたことを受け、チュン被告は調査団を発足したが、調査員を脅迫し、調査結果に介入していたことが確認された。被告は犯罪行為を隠蔽すべく、「狡猾な手口」で部下に書類を捏造させ、自身の立場を悪用して他人に濡れ衣を着せようとした上、取り調べでも違反を素直に認めず、市の尊厳を損なった。
また、チュン被告は自身をPRして政治的な目的を果たすため、ザン被告に対し、不正利益を使って複数の組織・機関に賄賂を渡させていたことも確認されている。
チュン被告はこのほか、別の2件の刑事事件(◇携帯電話小売チェーン「ニャットクオン・モバイル(Nhat Cuong Mobile)」を運営するニャットクオン貿易・技術サービス(Nhat Cuong Trading & Technical Services)やその系列企業、ハノイ市計画投資局における違反事件、◇上記事件に関連する捜査書類をチュン被告の側近らが被告の指示のもとで略奪した事件)にも関与。
なお、捜査書類をチュン被告の側近らが略奪した事件について、チュン被告は2020年12月に開かれた非公開裁判で禁固5年の判決を言い渡されている。