カンボジアのカジノで働かされていた約40人のベトナム人が集団脱走し、南部メコンデルタ地方アンザン省とカンボジア・カンダル州の境を流れるビンジー(Binh Di)川を泳いで帰国した事件に関連し、アンザン省警察はカンボジアにベトナム人らを売り飛ばした4つの人身売買ルートを特定した。同省警察署長のディン・バン・ノイ大佐が明らかにした。
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4つの人身売買ルートは複数の省・市で活動しており、アンザン省警察はこのうち1つのルートのメンバーであるグエン・ティ・レ容疑者(女・42歳、同省ロンビン町=thi tran Long Binh在住)とレ・バン・ザイン容疑者(男・34歳、同)の2人を不法出国手配容疑で逮捕した。
同事件では、ベトナム人42人が国境付近にあるカジノから脱走。このうち1人が川に流され、1人は途中で身柄を拘束されて逃走に失敗。残る40人(男性35人・女性5人)は川を泳いで渡る際、助けに入った地元住民らの船に救出され、無事に川を渡り切ってベトナムに帰国した。川に流されて行方不明となっていた1人の遺体は後日発見・収容された。カジノには今もベトナム人11人が残されており、両国当局が緊密に連携しつつ、帰国を手配する準備を進めている。
ベトナム人らが事情聴取で語ったところによると、月給700~1000USD(約9万6000~13万7000円)の「高給で簡単な仕事」を紹介されてカンボジアに不法入国し、問題のカジノで働いていたが、給料が支払われない上に、警備員から日常的に暴行を受けていたため、集団脱走を決意したという。
ベトナム人らは、犯罪組織に売り飛ばされるという人身売買被害に遭ったものとみられている。彼らは中国人マネージャーが運営するカジノを装った施設で軟禁されながら、ベトナム国内のベトナム人をターゲットとしたオンライン賭博や詐欺などの犯罪行為の実行を強いられ、家族から身代金が支払われない限り解放されず、働き続けなければならなかった。
アンザン省警察は同事件をめぐり捜査を急いでおり、公安省と公安省傘下の刑事警察局とも協力し、捜査を徹底していく方針を示した。
なお、アンザン省当局は、ベトナム人らが地元に帰るための交通費として1人につき150万VND(約8700円)をそれぞれ渡した。