国会常務委員会の第22回会議が10日に開幕した。同委員会はこの席で、ハノイ市選出の国会議員グエン・アイン・チー氏が提案した「性自認法案」の策定を巡り、法整備プログラムに盛り込むことについて意見を交わした。
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チー氏は、性転換の権利に関する具体的な内容を含む「性自認法案」の策定を提案する書類を提出。同氏によると、LGBTコミュニティは世界人口の3.0%~7.0%を占め、このうち性転換者(性転換手術またはホルモン療法を受けている人々)の割合は人口の0.3%~0.5%を占めており、既に72か国・地域が性転換の権利を法的に認めているという。
チー氏は、同法案の策定を2024年の法整備プログラムに盛り込み、審議のために第8回国会(2024年10月)に提出し、第9回国会(2025年5月)で可決することを提案した。
これを受けたホアン・タイン・トゥン国会法律委員長は、チー氏の努力を評価しつつも、「性自認法案」は保健省が提案予定の「性転換法案」と重なる部分があるとの見方を示し、チー氏に対して「性自認法案」の範囲を狭め、適切な時期に改めて提出するよう求めた。
性転換の権利を巡っては、2015年版の改正民事法第36条と第37条において、「個人は自らの性別を再定義する権利を有する」、「性転換は法律の規定に従って行う」、「性転換を行った個人は戸籍に関する法律に従い、戸籍の変更を登録する権利と義務を有し、民事法とその他の関連規定に基づいて再定義された性別に従った人格権を有する」などと規定されている。
しかし、改正民事法が制定されて8年が経過した現在も、これをガイダンスする規定が整備されておらず、性転換者が権利を行使するための法的枠組みが確立していないのが現状。性転換手術を受けた人が戸籍上の性別を変更することも出来ないままとなっている。