米ファッション工科大に初のベトナム人学生

2009/03/01 07:27 JST配信

 カルバン・クラインなど多くの有名デザイナーを輩出している米国のファッション専門大学「ファッション工科大学(FIT)」に初めてベトナム人学生が入学した。彼の名はブー・カック・チュン。

 身長162センチメートルの彼はすべてが子どもサイズ。ジーンズとTシャツを着ようものなら中学生に間違えられてしまいかねないが、その「控えめ」な外見とは裏腹に彼の行動力には誰もが一目を置いている。彼はホーチミン市のグエンティミンカイ高校英語学科の優秀な生徒だったが、心の奥底にあった夢は、12歳の時にテレビで見て以来あこがれ続けたファッションデザイナーになることだった。彼は大学に行くならFITだと決めていた。友人や家族の反対にあったが、彼の気は変わらなかった。

 カック・チュンは周囲の人たちを説得するため、卒業を間近に控えながら思い切って「ベトナム・コレクション・グランプリ2007」に応募した。グランプリでは参加者中最年少ながらトップ25位内に入選し、色彩賞を受賞した。高校も無事卒業し、家族や友人たちに彼が選ぼうとしている道が正しいことを証明してみせた。

 そうして彼はFITの試験を受けるため、意気揚々とアメリカに旅立った。しかし英語のハンディと彼の限られたファッションの知識では合格はおぼつかず、面接試験の数日後に不合格の通知を受け取った。彼にとっては人生で初めての敗北の経験だった。「知る人は誰もおらず孤独だった」。ニューヨークでぼんやり暮らしていたときのことを思い出して彼はそう言った。お金もつきかけていたが、試験に失敗したことを知られるのが怖くて国へ電話もできずにいた。そうやって数週間過ごした後、彼は立ち上がる。

 まずは自分の欠点を洗い出し、英語の能力とファッションの知識が不十分なことを再認識、ニューヨーク大学の語学コースに申し込み、昼夜問わずファッションに関する書籍を読みあさった。持っていたお金はつきかけていたが、勉強に影響するためアルバイトはせず倹約して過ごした。グランプリ参加の時は「何も失うことはない」と思っていたが、今度は失敗すればすべてを失うのだ。勉強に没頭した末、あらためてFITへ入学願書を出し、「受からなければ帰国だ」と腹を決めた。

 「実はこの大学にベトナム系の学生がいるかどうかもよく知らなかった。合格した時僕が初めてのベトナム系学生だと知ったんだ。でもなによりも、これまでの努力が実ったことがとてもうれしかった」。彼は誇らしげにそう語った。今の現実的な夢はお金を貯めて毎年帰国すること、そして将来の夢は自分のファッションブランドを立ち上げることだ。

© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 17日から20日にかけて香港で開催された「香港ファッションウィーク・2011年秋冬コレクション」に、ベト...

新着ニュース一覧

 ベトナム政府は19日、決議第36号/NQ-CPの一部を改正・補足する決議第55号/NQ-CPを公布した。同決議は同...
 観光不動産開発を中核とする地場系コングロマリット(複合企業)サングループ(Sun Group)と、シンガポー...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 保健省医薬品管理局は17日付けで、台湾製の手足口病ワクチン「エンバックジェン(Envacgen)」の使用を承...
 ハノイ市郊外のダイスエン村(旧フースエン郡)ダーチャット村落の人々は、ベトナム語の標準語とは別に、...
 ベラルーシ国営のベラヴィア航空(Belavia Belarusian Airlines)は20日、ベラルーシの首都ミンスクとカ...
 英国航空サービスリサーチ会社のスカイトラックス(Skytrax)が発表した「世界の空港トップ100(The World...
 ホーチミン市警察刑事警察部は、タンソンニャット国際空港の空港警察と連携し、市内のホテルで殺人を犯...
 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC、東京都港区)は、ベトナム石炭鉱産グループ(Vietnam...
 23日のベトナム株式市場はほぼ全面安の展開となり、VNインデックスは3日連続で大幅に下落した。VNイン...
 国家選挙評議会は21日、3月15日に実施された第16期(2026~2031年任期)の国会議員および各レベル人民評...
 ファム・ミン・チン首相は19日、エネルギー使用の効率化、エネルギー転換の促進、および電動車両などの...
 ホーチミン市のドゥックバー(聖母マリア)教会で19日、新しい2本の十字架が教会の2つの鐘塔の上に設置さ...
 ベトナム共産党のトー・ラム書記長は17日、新時代における首都ハノイの建設・発展に関する政治局決議第...
 ベトナム評価レポート社(ベトナムレポート=Vietnam Report)は、2026年における信頼性の高い不動産デベ...
トップページに戻る