「ベトちゃんドクちゃん」分離手術の知られざる裏側【後編】

2016/02/21 03:32 ICT配信

 手術チーム長は、スタッフに経過観察の方法について指示したのち、汗でじっとりと湿った手術着とともに手術室を後にした。彼が手術室を出ると、思いがけず故ズオン・クアン・チュン医師をはじめ手術に参加した医師たちがまだ経過観察室に座っていた。そこには当時のホーチミン市最高指導部だったボー・チャン・チー氏もおり、握手をし、手術が成功したお祝いの花籠を贈ったという。

 「それは去る1988年10月5日のこと。決して忘れることのない日です」とドン・アー医師は語った。

期待以上の成功とその後の2人の人生

 生死をかけた手術を終え、世界中が見守る中で、2人は目を見張るほどの速さで回復した。ベトさんは植物状態だったが、ツーズー産婦人科病院の平和村(Lang Hoa Binh)の支援を受けながら、手術後の19年間を生き抜いた。ベトさんは2007年10月6日、同病院で息を引き取った。26歳だった。

 一方、ドクさんは成長し、平和村のスタッフとなり、2006年12月に結婚。2009年には可愛い男女の双子が誕生した。それは、世界中の医学界でも前例のないことだった。ドクさんの結婚式を主催したのは、彼の人生に命を与えた「おじいちゃん」「おばあちゃん」こと、手術に参加した医師たちだった。ドクさんの双子の名前は、男の子が「フー・シー(Phu Si=富士)」、女の子が「アイン・ダオ(Anh Dao=桜)」だ。

 伝説の手術はベトナム医学界のマイルストーンとなり、1991年には世界ギネスに認定された。手術に参加した医師らは自信を持って世界へ歩み出した。止まることのない多くの変化を経て28年が過ぎた。あの日手術に参加した医師らは、既に亡くなってしまった人もいるが、人の命を救うため、定年後も休むことなく医師を続けている人もいる。

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