シクロの黄金期から衰退期まで、今も新車を造り続ける男性

2017/10/08 04:29 JST配信

 最盛期からファットさんは修理のほかにも新車を製造・販売するようになった。ファットさんは資材の曲げ加工から溶接、組立てと全工程を自分でこなす。当時の販売価格は品質によってゴールド0.1テール(3.75g)~1テール(37.5g)、購入後のナンバープレート登録手数料などが0.3テール(11.25g)かかり、シクロ1台を購入して開業するには4000万VND(約20万円)かかったことになる。それでも造るそばから売れていったそうだ。

(C)Vietnamnet
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 ところが2008年になると、ホーチミン市は市内を走るシクロの台数を制限する条例を施行した。シクロを街区当局へ持ち込み運転手を廃業する人には、転職資金として500万VND(約2万5000円)が支給された。「シクロ修理をする人も減ってしまい、今では私ぐらいなものでしょう」と言うと、ファットさんは遠くを見つめしばらくの間黙った。

 ファットさんの店は貸店舗で1日20万VND(約1000円)の賃料がかかるため、毎日それ以上の売上を出さなければならない。現在は修理の需要も減ってきているため、輸出向けのシクロ製造でなんとかもっているのだという。

 「このシクロももうすぐ輸出するんです。1300万VND(約6万5000円)で在米のベトナム人が買いました。これから解体して梱包するところです」とファットさん。最近では新車の発注は主に国内外のカフェやレストランからで、店内でオブジェとして展示されるそうだ。

 シクロは1939年にフランス人が発明したとされており、統計資料によると同年にはサイゴン(現在のホーチミン市)にシクロが40台存在し、翌1940年には200台に急増したという。

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[Tran Chanh Nghia, Vietnamnet, 08/09/2017 04:00 GMT+7, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
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