ベトナム映画「パパとムスメの7日間」落合賢監督インタビュー【後編】

2019/01/27 05:00 JST配信

映画の中でチャウが、ママのファンデーションを使うシーンがあります。僕はファンデーションって一番自分の肌に合ったものを使わないといけない部分だと思うんですね。それは誰かの真似をしちゃいけない部分だと思いますし、白くなろうと自分の肌に全く合わない白いファンデーションをつけたところで、やっぱり不自然さしか目立たない。そういう意味で、地となるファンデーションを自分らしさとして見つけなければいけないというのが、この映画の中での比喩の1つなんじゃないかなと思います。

(C) VIETJO/Sa Huynh
(C) VIETJO/Sa Huynh

―――撮影の面で大変だったシーンなど、印象に残っているシーンを教えてください。

やっぱりクライマックスのシーン(チャウがステージでバレエ、カンフー、ベイプトリックのパフォーマンスを行うシーン)ですね。これは本当に、他のシーンと比べものにならないくらい大変でした。というのも、やっぱりカンフーとバレエとベイプトリック(電子たばこの煙を使ったパフォーマンス)の3つが重なりつつ、1000人くらいのエキストラがいる中で、それを毎日コントロールしながら時間内に終わらせるというのはプレッシャーがありました。

ステージのシーンは音とライティングの調整をまずしないといけないですし、パフォーマンスの準備にすごく時間がかかるので、撮影の一番最初に持ってこなければいけなかったんです。撮影に入ってしまって最後にクライマックスを持ってこようとすると、撮影中に準備をしなければいけなくなってしまうので。ただ、一番最初にクライマックスを撮影して良かったのは、ケイティ(Kaity Nguyen)さんとタイ・ホア(Thai Hoa)さんに準備の時間がきちんとあったこと。まずはそれに向けて全力投球する、他のことは考えずにそれを成功させる、というのが役者さんとしても僕としてもすごくやりやすかったです。逆にそれが終わってしまうとあとはどうにかなるっていう(笑)、自信と余裕みたいなものもありましたしね。

―――監督のお気に入りのシーンを教えてください。

お気に入りのシーンはたくさんあるんですけれど、やっぱりオープニングのモンタージュがすごく好きです。あのシーンが僕にとってこの映画を作る意義でもあったと思いますし、あのシーンがうまくいけば僕の中でこの映画もうまくいくんじゃないかなと思っていましたね。

特に僕は一番最初のシーンをすごく気にかけるんです。この映画の最初のシーンは赤ちゃんのときのチャウが泣いていて、パパがサッカーを観ていてママに世話をさせようとするんですけれど、結局自分で立ち上がってチャウをあやす。それは、パパが初めて「父親」になる瞬間だと思うんですね。父親が泣いている娘を何とかして笑わせようとする、母親はそれを階段のところで見ている、というのが、この作品そのものなんじゃないかなと思っています。この映画の全てが凝縮されているシーンなんじゃないかなという意味では、このシーンが一番ですかね。

あとは(監督ご自身が演じている)ミヤモトのシーンなんですけれど(笑)、日本の原作ということもあって、日本の漫画っぽさみたいなものも入れたいなと思ってスプリッドスクリーン(コマ割り)の形にしました。あのシーンもお気に入りのうちの1つです。

前へ   1   2   3   次へ
[2019年1月16日 ベトジョーニュース A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 落合賢監督が手掛けたベトナム映画の2作目「パパとムスメの7日間(Hon Papa Da Con Gai)」が、日
 落合賢監督が手掛けたベトナム映画の2作目「パパとムスメの7日間(Hon Papa Da Con Gai)」が、韓
 「第14回大阪アジアン映画祭(Osaka Asian Film Festival 2019)」が、3月8日から17日まで開催される。同...
 落合賢(おちあい・けん)監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が、12月28日に公開
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」のプレミア試写会が
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が、12月28日(金)
 日本人監督によるベトナム映画「サイゴンボディガード(Saigon Bodyguards)」。日本人として初めて、ベ...

新着ニュース一覧

 ホーチミン市で、電動バイク向けの充電サービスを提供するカフェが急増している。この1年ほどで雨後の...
 地場系コングロマリット(複合企業)T&Tグループ(T&T Group)と、マレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジ...
 ホーチミン市のクアンチュンソフトウェアパークでこのほど、「ベトナム半導体産業人材開発連盟(SEVINA)...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 毎週火曜日と金曜日の午前9時から11時まで、ホーチミン市ヒエップビン街区(旧トゥードゥック市の一部)...
 ハノイ市警察は8月10日(日)まで、ホアンキエム湖周辺の一部通りで交通規制を行うと発表した。これは、8...
 南中部地方ダナン市にあるテーマパーク「ダナン・ダウンタウン(Da Nang Downtown)」が9月3日に営業を停...
 ハノイ市で8月9日(土)と10日(日)の両日、「世界のお巡りさんコンサート」が開催される。  ベトナム...
 東北部地方クアンニン省のハロン湾とバイトゥーロン湾では、安全確保の一環として、すべての観光船に船...
 8月1日に公開されたベトナム・韓国合作映画「Mang Me Di Bo(英題:Leaving Mom)」が6日、公開6日間で興...
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は5日、機内インターネット接続サー
 国防省傘下の携帯通信大手ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)はこのほど、同社の第11回...
 文化スポーツ観光省は、8月革命80周年(1945年8月19日~2025年8月19日)および建国80周年(1945年9月2日~...
 財政省傘下統計局(NSO)が発表したデータによると、2025年1~7月期に全国で新規設立された企業は前年同...
 財政省傘下統計局(NSO)の発表によると、2025年7月の外国人訪問者数(推定値)は前月比+6.8%増の156万258...
 財政省傘下統計局(NSO)の発表によると、7月の小売売上高(推定値)は前月比で+1.1%増、前年同月比では+9...
トップページに戻る