ウクライナ在住ベトナム人のいま、戦地からの退避か滞留か

2022/03/06 10:45 JST配信

 駅に向かう車中もトゥイさんは不安でいっぱいだったが、あえて口に出すことはしなかった。時折爆発音が聞こえると、トゥイさんは心の中でこれまでにないほど不安を募らせた。それでもトゥイさんは、自分が2人の子供たちを支えなければと、落ち着くよう自分に言い聞かせた。

(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri

 「列車に乗り込むと、3人分の座席を見つけることができました。それから約20分後に発車し、そのときにやっとこれで危険な場所を離れられると思いました。ベトナムにいる夫と家族も、私たち3人が無事に列車に乗れたことを知って不安が少し和らいだようです」とトゥイさん。

 ハリコフを離れると決断するまでに、トゥイさんは色々なことを考える必要があった。あっという間に情勢が悪化したため、危険に備える暇もなかった。自宅も車もビジネスも置き去りにし、2人の子供たちの学業も途中のまま、ハリコフを離れるしかなかった。

 トゥイさんは「情勢が複雑化していくのを目の当たりにし、2月28日午後に退避することを決断しました。でも、全土に戒厳令が出されていたので3月1日まで待たなければなりませんでした。出発の前夜は一晩中、早く夜が明けてほしいと願っていました。家族全員の身の安全を祈るばかりで、財産はあきらめるしかありませんでした」と話す。

 そして約17時間後、列車はポーランド国境に到着した。

 一方、移動中の危険を懸念してハリコフに滞留することを選んだ人々も多くいる。

 Pさん一家の自宅は市内のマンションの高層階にあるが、この情勢で地下での生活を送ることになり、その生活にも徐々に慣れてきたところだ。

 地下シェルターは狭くて寒いが、100人もの人々がそこに集まって暮らしている。しかし、その人の多さこそが、Pさんの不安をいくらか和らげていた。

 「自宅はマンションの高層階にあるので、自宅にいても安心できません。3月1日の時点で、私たち家族が地下シェルターに移動して6日目になります。本当のところ、退避はしたくありません。ハリコフからポーランドまでは約1000kmの距離があり、道中も危険ですから。何よりも、落ち着いた生活がすぐに戻ってくると信じているからです」とPさんは語る。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって300日余りが経った。ウクライナ在住のチン・アイン・トゥアンさ...
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ロシア軍がハルキウ(首都キーウに次いで2番目に大きい都市)に侵...
 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、戦火を逃れてウクライナからベトナムに帰国した在外ベトナム人(...
 外務省は、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナから退避する現地在住ベトナム人らの帰国手配を...
 ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ在住のベトナム人を苦しめているばかりか、ロシアで暮らし働いて...
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、ロシアによる軍事侵攻を受けて
 グエン・スアン・フック国家主席は6日、国家主席府で会合を開き、ロシアによる軍事侵攻を受けているウ...
 ロシアによる侵攻を受けているウクライナには約7000人のベトナム人が居残っているが、いずれも無事だと...

新着ニュース一覧

 ベトナム国内の石油元売り各社は、エネルギー安全保障の強化と化石燃料の輸入依存からの脱却を目指し、...
 ベトナム政府は19日、決議第36号/NQ-CPの一部を改正・補足する決議第55号/NQ-CPを公布した。同決議は同...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 観光不動産開発を中核とする地場系コングロマリット(複合企業)サングループ(Sun Group)と、シンガポー...
 ハノイ市郊外のダイスエン村(旧フースエン郡)ダーチャット村落の人々は、ベトナム語の標準語とは別に、...
 保健省医薬品管理局は17日付けで、台湾製の手足口病ワクチン「エンバックジェン(Envacgen)」の使用を承...
 ベラルーシ国営のベラヴィア航空(Belavia Belarusian Airlines)は20日、ベラルーシの首都ミンスクとカ...
 英国航空サービスリサーチ会社のスカイトラックス(Skytrax)が発表した「世界の空港トップ100(The World...
 ホーチミン市警察刑事警察部は、タンソンニャット国際空港の空港警察と連携し、市内のホテルで殺人を犯...
 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC、東京都港区)は、ベトナム石炭鉱産グループ(Vietnam...
 23日のベトナム株式市場はほぼ全面安の展開となり、VNインデックスは3日連続で大幅に下落した。VNイン...
 国家選挙評議会は21日、3月15日に実施された第16期(2026~2031年任期)の国会議員および各レベル人民評...
 ファム・ミン・チン首相は19日、エネルギー使用の効率化、エネルギー転換の促進、および電動車両などの...
 ホーチミン市のドゥックバー(聖母マリア)教会で19日、新しい2本の十字架が教会の2つの鐘塔の上に設置さ...
 ベトナム共産党のトー・ラム書記長は17日、新時代における首都ハノイの建設・発展に関する政治局決議第...
トップページに戻る