ウクライナ在住ベトナム人のいま、戦地からの退避か滞留か

2022/03/06 10:45 JST配信

 3月1日の早朝、時折爆発音が鳴り響く中、Pさんは食事を用意するために地下シェルターを出て自宅に戻った。数日前は爆発音がすると皆パニックに陥っていたが、今となっては住民のほとんどが慣れてしまった。

(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri

 しかしながら、そんな中では食事も落ち着いてとることができない。食事の用意が終わって家族揃って席につこうとしたとき、爆発音が大きくなった。誰が誰に声をかけるでもなく、身の安全を確保するため、全員すぐに地下シェルターに走った。

 「そのとき、私は用意した食事と、鍋に入ったままのものもすべて袋に詰めて、地下シェルターに急いで下りました。私たち家族の生活は一変してしまいましたが、1人1人が頑張って乗り越えるしかありません」とPさんは打ち明けた。

 この数日間、Pさんだけでなくハリコフに暮らす他のベトナム人たちも同じく不安な日々を過ごしている。地下シェルターにいても遠くから銃声や爆発音が聞こえ、一時も安心はできないのだ。

 同じくハリコフに暮らすHさんは、ウクライナで暮らして10年近くになる。Hさんによると、情勢はあっという間に、そして予想外に進行し、危険に備える暇もなく、「なすすべがなかった」という。

 退避するにも、ウクライナの冬は寒く、移動距離は長く、さらに移動中に不測の事態が起こることも考えられ、誰もが長距離移動に耐えられるほど健康だとも限らないことから、多数の人々を退避させることは現実的ではない。そのためHさん一家もまた、地下シェルターに避難して日々を過ごしている。

 「ウクライナが侵攻された日から、私たち家族はまともな食事もとれていません。誰もが不安な気持ちを抱えながら、とりあえず食べ物を口に入れるだけです。銃声が聞こえるたびに不安が募り、恐怖を感じ、落ち着いて眠ることもできません。一番かわいそうなのは子供たちです。色々なものが不足し、不安な中で、両親とともに生きなければならないんです」とHさん。

 街中に煙が上り、爆発音が響き渡る中、ハリコフ、そしてウクライナに暮らすベトナム人は皆、一刻も早く落ち着いた日々が戻ってくることを望んでいる。彼らは、皆で揃っての食事、友人たちとの再会、そして地下シェルターに避難する必要もなく、笑い声の中で自由に外を歩ける日をただただ待ち望んでいるのだ。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって300日余りが経った。ウクライナ在住のチン・アイン・トゥアンさ...
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ロシア軍がハルキウ(首都キーウに次いで2番目に大きい都市)に侵...
 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、戦火を逃れてウクライナからベトナムに帰国した在外ベトナム人(...
 外務省は、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナから退避する現地在住ベトナム人らの帰国手配を...
 ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ在住のベトナム人を苦しめているばかりか、ロシアで暮らし働いて...
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、ロシアによる軍事侵攻を受けて
 グエン・スアン・フック国家主席は6日、国家主席府で会合を開き、ロシアによる軍事侵攻を受けているウ...
 ロシアによる侵攻を受けているウクライナには約7000人のベトナム人が居残っているが、いずれも無事だと...

新着ニュース一覧

 中東情勢の緊迫化に伴う液化石油ガス(LPG)の供給懸念が高まる中、国内で唯一、一貫した生産体制を築い...
 ベトナムのIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)傘下の
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナム国内の石油元売り各社は、エネルギー安全保障の強化と化石燃料の輸入依存からの脱却を目指し、...
 ハノイ市郊外のダイスエン村(旧フースエン郡)ダーチャット村落の人々は、ベトナム語の標準語とは別に、...
 ベトナム政府は19日、決議第36号/NQ-CPの一部を改正・補足する決議第55号/NQ-CPを公布した。同決議は同...
 観光不動産開発を中核とする地場系コングロマリット(複合企業)サングループ(Sun Group)と、シンガポー...
 保健省医薬品管理局は17日付けで、台湾製の手足口病ワクチン「エンバックジェン(Envacgen)」の使用を承...
 ベラルーシ国営のベラヴィア航空(Belavia Belarusian Airlines)は20日、ベラルーシの首都ミンスクとカ...
 英国航空サービスリサーチ会社のスカイトラックス(Skytrax)が発表した「世界の空港トップ100(The World...
 ホーチミン市警察刑事警察部は、タンソンニャット国際空港の空港警察と連携し、市内のホテルで殺人を犯...
 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC、東京都港区)は、ベトナム石炭鉱産グループ(Vietnam...
 23日のベトナム株式市場はほぼ全面安の展開となり、VNインデックスは3日連続で大幅に下落した。VNイン...
 国家選挙評議会は21日、3月15日に実施された第16期(2026~2031年任期)の国会議員および各レベル人民評...
 ファム・ミン・チン首相は19日、エネルギー使用の効率化、エネルギー転換の促進、および電動車両などの...
トップページに戻る