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農村支援NGO「VIRI」設立20周年、青年海外協力隊の山田邦永氏インタビュー

2018/03/05 JST配信

 ベトナムの地方産業の持続的な発展を支援している非政府組織(NGO)のVIRIが、2017年に設立20周年を迎え、2017年12月16日にハノイ市内のベトナム民族学博物館で記念式典を開催した。

 今回、青年海外協力隊(任期:2017年10月~2019年9月)として、ハノイ市を拠点にVIRIで精力的に活動をしている山田邦永(やまだくにはる)氏に、VIRIの魅力について話を聞いた。


VIRI職員、記念式典のメイン舞台にて

―――VIRIについて、概要を説明していただけますか?

VIRI(Vietnam Rural Industries Research and Development Institute=ベトナム地方産業研究開発研究所)は、1997年にベトナム民族人類協会によって設立され、ベトナム科学技術省により認可されたNGOです。設立からの20年間、ベトナム省庁、国際政府機関、欧州連合(European Union=EU)、国際連合(United Nations=UN)、NGOなど、多くのパートナーと連携し協働しながら活動をしてきました。

ベトナム国内の53省において実施した100以上の研究開発プロジェクトから、50種類以上の製品群が誕生しました。これにより、200以上の生産者団体で雇用を創出し、収入の向上と安定を実現しています。受益者は5万人を超え、その多くが少数民族の女性です。



VIRI 20年の歩み(約6分)

―――VIRIの開発した商品の中でオススメは何ですか?

発売開始からもの凄い勢いで売れ続けているのが北中部地方ゲアン省コンクオン郡のオレンジピールです。収穫前の6か月もの間、農薬を使用せずに丁寧に育てたオレンジピールを砂糖漬けにしたものです。直接食べても料理に入れても、バランス良く凝縮されたオレンジの甘みと酸味を楽しめます。このオレンジピールは、ハノイ市タイホー区の大人気レストラン「PéPé la poule」のクリスマスディナーにも使っていただきました


オレンジピール

また、樹齢100年を超える古樹から少数民族赤ザオ族の摘んだ、東北部地方ハザン省ホアンスーフィー郡のフィンホー緑茶も人気です。琥珀色に輝くハチミツのような美しい色味と、一口含むと広がる爽やかな香りとほのかな甘みが特徴です。フェアトレード製品およびオーガニック製品の認証を取得しており、共感してくださる企業や政府関係の方々の手土産などとしても大変喜んでいただいています。


フィンホー緑茶

―――VIRIの商品はどこで購入できますか?

ハノイ市内の、キムマー通りのStar Lotus、ホアンキエム湖近くのAjisai、タイホー区のJapan Small Marketを含む、以下の店舗で購入いただけます。

なおVIRIの商品は、「VIRICO」というブランド名にて展開されています。不定期で開催されるイベントでの販売は、VIRICOのFacebookページで案内されます。


VIRICOブランドロゴ

取扱店舗一覧(都市別・アルファベット順、2018年2月時点)

【ハノイ】
Ajisai (8 Nha Chung St., Hoan Kiem Dist.)
Chie Design (66 Hang Trong St., Hoan Kiem Dist.)
Emporium Hanoi (172 Xuan Dieu St., Tay Ho Dist.)
Hanoi Design Center (1st floor 20 Ly Thuong Kiet St., Hoan Kiem Dist.)
I love Organic (46 Ngoc Lam St., Long Bien Dist.)
Japan Small Market (4 Tay Ho St., Tay Ho Dist.)
L'Atelier (33 Xuan Dieu St., Tay Ho Dist.)
Star Lotus Kim Ma (551 Kim Ma St., Ba Dinh Dist.)
Vietnamese House (92 Hang Bac St., Hoan Kiem Dist.)

【ホイアン(南中部沿岸地方クアンナム省)】
Xu Dang Trong (9 Nguyen Thai Hoc St., Minh An Ward)

―――山田さんは青年海外協力隊としてVIRIでどのような活動をしていますか?

VIRIのこれまでの20年の実績を踏まえ、これからの10年でより強固なNGOとなるための組織変革を支援しています。

VIRIは農産品から各種商品を開発する技術力に大きな強みを持っております。一方、その技術力を生かして開発した商品のブランディングに課題があり、青年海外協力隊「マーケティング職種」の派遣要請がありました。

元々の要請にあったパッケージの改善提案などの製品レベルでの取り組みに留まらず、ブランド力を強化するため、観光ガイドブックや航空会社の機内雑誌などとの協業や世界中のバイヤーの集まる展示会への出展も支援しています。更に、VIRIの持っているベトナム全土の農村地区との広範にわたるネットワークを生かして、ベトナム国内外の美術館などとともに文化価値を創造する取り組みなども進めています。ステークホルダーは、公的機関および企業のそれぞれにおいて、農村・省・国・連合体・世界レベルにわたります。非常にチャレンジングな取り組みばかりで、毎日楽しみながら活動を進めています。


インドネシアの首都ジャカルタにあるASEAN事務局にて面会を終えた山田邦永

―――山田さんのバックグラウンドや青年海外協力隊に応募した動機は何ですか?

分子生物学領域で農学修士号を取得後、外資系製薬会社で約9年働き、原薬製造、製剤開発、医師主導研究支援、CMC薬事に携わってきました。また働きながらMBAを取得し、主にビジネスの国際化を学びました。

ふらりと行く一人旅が好きで、2017年にはヒマラヤ山脈の標高6000mの雪山に登るなど、これまで主にアジア・アフリカ・南米の途上国を中心に20か国を「冒険」してきました。旅行中に現地に足を踏み入れることで感じた途上国における困難な状況をビジネスの観点から改善したいと考え、草の根レベルで活動のできる青年海外協力隊のマーケティング職に応募しました。

私の人生の羅針盤にもなっているキング牧師の言葉に、このようなものがあります。

“Power without love is reckless and abusive, and love without power is sentimental and anemic.”
“愛無き力は向こう見ずで悪用されやすく、力なき愛は感傷的で生気がない。”

社会を変えるために本当に必要なものは、愛だけにでもなく、力だけにでもなく、愛と力の交差点にこそ宿る、ということを意味しています。途上国支援の一翼を担いたいという「愛」と、これまでに得た幅広く実践的な経験や知識という「力」で、青年海外協力隊として現地で直面している困難な状況を打破するのに貢献できるだろうという手ごたえとともに、新しいキャリアへと踏み出しました。


青年海外協力隊派遣前訓練修了式にて謝辞を読む山田邦永氏

―――最後に一言メッセージをお願いします。

ベトナムは「中所得国」となり、特に都市部における生活は豊かになりつつあります。しかしながら、いまだ困難な課題を抱えた農村地区も数多く残っています。VIRIはこれらの農村を支援すべく、最前線に立って活動を進めてまいります。しかしながら、VIRIだけでは進むことができません。皆さまのご協力が必要です。

1.VIRIのことを周りの方にお話する、2.VIRIの開発した商品をご自身や家族、友人、ビジネスパートナーのために購入する、3.技術、物資、情報、資金などをVIRIに提供する、など、皆さまのできる範囲でのご支援を、ぜひともよろしくお願いいたします!


VIRI代表グエン・バオ・トアさん(中央)と青年海外協力隊山田邦永氏(右)

連絡先
VIRI(Vietnam Rural Industries Research and Development Institute=ベトナム地方産業研究開発研究所)
 メールアドレス:viri@viri.org.vn
 電話番号:+84-(0)24-3636-8006
 住所:No.35 Lane 19 Lac Trung St., Hai Ba Trung Dist., Ha Noi
 VIRI Facebookページ:https://www.facebook.com/VIRI-311335002399075/
 VIRICO Facebookページ:https://www.facebook.com/viricovietnam/

青年海外協力隊 山田邦永
 メールアドレス:quockuni@viri.org.vn
 電話番号:+84-(0)125-210-1516
 略歴:1983年生まれ。愛知県出身。東京大学卒業、東京大学大学院修士課程修了、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修士課程修了(MBA)。元ファイザー勤務、元ジョンソン・エンド・ジョンソン勤務。青年海外協力隊としてベトナムのNGO、VIRIで活動中(任期:2017年10月~2019年9月)。

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