ハノイ市ハドン区で生後3か月の乳児が、禁錮1年3か月を言い渡された母親とともに刑務所に収監されるという驚きの事態が発生した。ラオドン紙(電子版)が報じた。
(C)Lao dong、執行延期が認められたニャム被告(中央) |
ベトナムの法律では、妊娠中または36か月未満の子供を養育中の女性は、子供が36か月に達する日まで刑の執行延期を申請することができる。売春仲介の罪で禁錮1年3か月の判決を受けたニャム被告は、判決当時妊娠中だったため、ハドン区公安に刑の執行延期を申し出た。出産日が近くなると、規定に従って公安の許可を取って夫の実家に帰省、10月末に可愛い女児を出産した。
ところが11月になって、ハドン区公安からニャム被告の指名手配が出される。容疑は「届け出た刑執行延期中の居住地から逃亡した罪」だった。そして、2月のテト(旧正月)も押し迫ったある日、ニャム被告は生後3か月にも満たない乳児とともに収監され、北部の冷え込む牢獄の塀の中で年を越さねばならなくなった。
このような非人道的な事態が発生した原因は、刑の執行延期が申請された後、裁判所が正式な刑執行延期の決定を下すはずが、何らかの理由で手続きが途中で止まってしまったことにあるようだ。また、ニャム容疑者は公安に届け出た場所に滞在しており、携帯電話番号も変更していなかったにもかかわらず、なぜか公安は指名手配に踏み切った。ニャム容疑者は指名手配を受けた後、公安幹部から直接連絡を受け取り、自分の居場所を伝えたという。
母子が収監されてから1か月以上経過した3月22日にようやく、ニャム容疑者の「刑執行延期の決定書」が裁判所から正式に出され、母子ともに無事に帰宅することができた。だが、獄中では子供が体調を崩したり、乳の出が悪くなったり、大変な状況だったようだ。いくら罪を犯したとはいえ、国家機関の不手際により乳飲み子までもが寒い牢獄の中で長期間過ごさなければならなくなったことに対し、市民から疑問の声が挙がっている。