言うまでも無いことだが賽銭は祈願成就のお礼として、神仏に奉納する金銭のことを指す。その主な使い道は、寺社の保全・修復・慈善事業などであるはずだが、実際の行方ははっきりしていない。最近では、賽銭箱を悪用した詐欺まがいの事件も報告されている。1日付ダットベト紙(電子版)が報じた。
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毎年旧暦の1月6日から3か月に亘りハノイ市で開催される、国内最大の仏教関連行事「フオン寺祭り」を執り行う寺社の一つ「チン寺」では2010年の祭りで、300億ドン(約1億1800万円)の賽銭が集まった。東北部クアンニン省のイエントゥー神社では、今年の春祭りで200億ドン(約7800万円)の賽銭が集まったという。また、寺社の石碑に記銘してもらえるよう、大金を寄付する人も多い。
文化スポーツ観光省によると、昨年は無許可で賽銭箱を設置したり、賽銭や寄付金の使い道を公開しない事例が多数報告された。仏像の手の中にお札を握らせるなど、品性を疑うような方法で賽銭を集めている寺社もあるという。更には、個人に寺社の賽銭箱の管理権を競売していたという報告もあった。
これまでは、賽銭泥棒が大きな問題とされていたが、それ以上に寺社側の不透明な管理方法に批判が集まっている。しかし、現行の法令では、寺社に対して、賽銭や寄付金の金額公開、使途公開を義務付けておらず、善意の賽銭の行方が分からないのが現状だ。「触らぬ神に祟り無し」という言葉もあるが、金銭を搾取しているのは人間、搾取されるのも人間だ。