地場ベトアー・テクノロジー・コーポレーション(Viet A Technology Corporation、ホーチミン市)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に便乗して地方自治体の医療当局と結託し、新型コロナウイルス検査キットの価格を水増しした事件で、公安省傘下の捜査警察機関は17日、証拠をつかんだ上で刑事事件として立件したことを明らかにした。最高人民検察院が起訴を決定した。
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警察はこれに先立つ10日、ハノイ市、ホーチミン市、北部紅河デルタ地方ハイズオン省、北中部地方ゲアン省、同トゥアティエン・フエ省、東南部地方ビンズオン省、南部メコンデルタ地方ロンアン省、同カントー市の8省・市の複数の場所の立ち入り検査を一斉に実施し、30人以上の取り調べを開始した。
これまでに同事件に関与した7人が容疑者として起訴された。7人には、ベトアー社のファン・クオック・ベト社長(男)とハイズオン省疾病管制センター(CDCハイズオン)のファム・ズイ・トゥエン所長が含まれる。
捜査結果によると、ベトアー社は新型コロナウイルス検査キット「LightPower iVA SARS-CoV-2 1st RT-rPCR」を製造し、2020年4月に保健省から流通認可を取得した。これまでに全国63省・市のうち62省・市の疾病管制センターや医療施設に製品を納入し、売上高は4兆VND(約198億円)に上った。
ベトアー社は検査キットの製造に用いられる原材料や機械設備の価格を水増しする形で生産コストを詐称し、検査キットを1製品当たり47万VND(約2330円)という不当な高値で販売していた。同社はこの価格に同意した見返りとして、疾病管制センターや医療施設の長に賄賂を渡していた。
中でも、ベトアー社はCDCハイズオンとの間で総額1510億VND(約7億5000万円)の新型コロナウイルス検査キット購買契約を締結し、その見返りとしてCDCハイズオンのトゥエン所長に300億VND(約1億5000万円)の賄賂を渡したことが確認された。
容疑者らは刑事法第222条に触れ、「競売入札に関する規定に違反し甚大な被害をもたらした容疑」で捜査を受けている。
なお、2020年4月に世界保健機関(WHO)が「LightPower iVA SARS-CoV-2 1st RT-rPCR」に対し、WHO緊急時使用リスト(The WHO Emergency Use Listing=EUL)の基準を満たしていると認定したことが大々的に報じられたが、今回の事件を受けて改訂され、現在は「認定されていない」と報じられている。