政府に提出した住宅法改正方針のなかで、建設省が、現在は「長期」となっている集合住宅の所有権の期限を、◇建物の使用期限(耐用期限)、◇土地使用権の期限(現行)で定めるかの2案として提出したことが、波紋を呼んでいる。
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建物の使用期限とされれば集合住宅の所有権は50~70年に限定され、集合住宅を購入した人々の権利に影響するからだ。
現在マンション購入を検討しているハノイ市に住むコンさんは、「マンションは、子供や孫に残していく長期的な資産。所有権が50~70年限りになるかもしれないというニュースを聞いて、とても心配している。国の正式な決定を聞いてから、購入するか決める」と言う。
現在市場では、所有権が限定されているマンションは、永久的な所有権が認められているマンションに対して15~30%割安だ。価格に差があるのは、所有権が限定されるマンションは、投資主が50年の土地賃貸料しか納めていないのに対し、長期的な所有権が認められるマンションでは、投資主がより多額の土地使用料を支払っているからだ。
ひとつのプロジェクトでも、長期所有できるマンションが30億~60億VND(約1690万~3370万円)で販売されているのに対し、所有権が50年に限定されるものでは、面積51m2の物件で22億VND(約1240万円)程度で販売されている。
また所有権が50年程度に限定されているマンションは、小面積で賃貸に利用されていることが多い。
しかし価格面だけでなく、50~70年所有した後の規定を明確化しておくべきという意見は多い。土地については長期的に使用できるとして、マンションを購入した人に、それを使用する権利があるのか、ないのかといったことだ。
「不動産権利書は、土地の使用目的は長期として発行される。ところがマンションについては50~70年の所有権しか認めないとなると、国民の資産の所有期限が、土地の使用期限と一致しなくなる」とグエン・ドゥック・ナン弁護士は言う。
この問題について、建設省不動産市場・住宅管理局のグエン・マイン・コイ副局長は、「政府は集合住宅の改築に関する政令第69号/2021/ND-CPを公布した。このなかで、耐用期限を迎えた、危険な状態になった集合住宅は、品質検査をしたうえで、取り壊しや再建の実施を判断することになっている。耐用期限が過ぎれば、安全を確保するためにその集合住宅は取り壊さなければならない」とマンションに所有期限を設けることの合理性を説明する。
とはいえ、ベトナム人には昔から、土地であろうと集合住宅であろうと、長期的に所有したい心理があるというのが大方の意見だ。建設省のこの提案に対しては、国民、企業から引き続き様々な意見が寄せられている。