ベトナムの食品生産現場における添加物管理の実態

2022/09/24 10:54 JST配信

 ベトナム製の即席めんが多数、発がん性物質「エチレンオキシド(ethylene oxide=EO)」の検出によって各国で回収されている。ただこの物質は、ベトナムでは規制されていないものだ。各国が禁止しているにもかかわらず、ベトナムで使用されている物質は、他にも多い。

(C) tuoitre
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 7月半ば、インターネット上に出ていた募集広告に応募する形で、地元紙「トゥオイチェー(Tuoi Tre)」の記者はホーチミン市ビンチャイン郡ビンロック工業団地の食品メーカーに潜り込んだ。

 2か月の見習い期間中の日当は19万VND(約1140円)。この会社では、エビにポテトを巻き付けた食品を主に生産しており、約400人の工員が働く。食堂近くに広さ5m2ほどの化学薬品倉庫があり、奥が食品加工の作業場だ。

 Tさんが、何やら白い物質をポテトの細切りにまぶしている。何かと尋ねると、「塩だよ。漬けてポテトを白くするんだ」と教えてくれた。

 次の工程では、Hさんが3つのシンクに水を入れていた。シンクの上には、蓋つきの箱が20個ほど積み上げられており、箱の中身は、袋詰めの白い粉。Hさんが袋を3つ取り出し、シンク2つに投入する。最後のシンクは、水だけ。

 作業しつつHさんが手を見せる。「ポテトを柔らかくして、黄色くするのに、15分くらい漬けるんだ。そしたらポテトを取り出して、水にさらす。箱の中は、塩と、ターメリックと、あと小さい袋は、何だかよくわからない化学薬品。それで俺の手はこんなに荒れちゃったってわけ」。

 潜入後しばらくして私たちは、とある10kg袋を見つけた。ラベルが裏返しになっていたその袋の文字を追うと、「MgSO4.7H2O 硫酸マグネシウム(Magnesium Sulphate) 25kg 中国産」とあるようだ。硫酸マグネシウムは凝固剤などとして使われるものだが、欧米では使用が認められていない。ただベトナムでは、添加物として使用できる。

 その硫酸マグネシウムに耐え切れず、会社を辞めた人がいた。Nさんは、18歳からこの会社で21年に渡って働いていた。初任給は数十万VND(10万VND=約600円)、辞める前には1400万VND(約8万4000円)ほどの月給を得ていたが、それでも退職を決意した。

 「辞めたのは、足の静脈瘤と、毎日化学薬品に触れる仕事で、鼻炎に悩まされていたから」と彼は言い、これがベトナムでは使用が認められている化学薬品であることを知ると少し驚いた様子で、「この薬品の匂いを嗅ぐと、とても頭が痛くなるんだよ」と話した。

 ホーチミン市農林大学の講師フイン・ティエン・ダット氏によると、この物質はベトナムでは凝固剤などとして使用されているが、ドイツでは2020年10月に、ヘッセン州に本社を置くHankuk社の生産する豆腐について、消費にあたっての警告を出しており、パッキングされた豆腐においては、硫酸マグネシウムやホウ酸など、欧州議会の規定に合致しない食品添加物を含む可能性があるとしている。

 なお、冒頭のエチレンオキシドについて、保健省食品安全局のチャン・ベト・ガー副局長は、政府はすでに商工省に対して、規制に向けた検討を指示しているとしたうえで、ただこの物質は、全ての国が規制しているわけではないと説明した。

 タイではエチレンオキシドについて基準を出しておらず、ベトナムは国際食品規格委員会(コーデックス=Codex)の規格を採用しているが、コーデックスでも特に基準は設けられていない。ところが韓国や日本などでは規定がある状態で、ベトナムで何らかの基準を出す場合には、実行可能性をよく検討する必要があるとした。

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