- レ・クアン・ディン氏、脳卒中で急逝
- 戦争をテーマにした作品が国際的評価
- 15年に森美術館で個展も
ベトナム人現代アーティストのレ・クアン・ディン氏が6日午後、脳卒中で死亡した。56歳だった。早すぎる死に、友人や同業者らはショックを受けている。
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ディン氏は1968年に南部メコンデルタ地方キエンザン省ハーティエン町で生まれ、10歳の時に家族と共に米国に渡った。カリフォルニア大学の写真学科を卒業し、その後ニューヨークでビジュアルアートを学んだ。1993年にはベトナムに帰国した。
国内外で反響を呼んだ作品としては、サイゴン(現在のホーチミン市)から逃げ出した米軍のヘリコプターが墜落するシーンを再現した3Dタブローの「イーストシー・ピシュクン(Pishkun)」(2009年)がある。映像インスタレーション作品「農民とヘリコプター」(2006年)は、3つのビデオ映像に農民と整備士がスクラップから組み立てたヘリコプターで構成されている。
戦争犯罪をばらまく手段だったヘリコプターのイメージが、農民らによって農業を支援する道具に改造されたことを表現したこの作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で紹介され、ディン氏を国際舞台に押し上げた。オランダ王室は2011年8月、ディン氏の功績を称えてプリンス・クラウス基金(Prince Claus Foundation)賞を授与した。
海外で30回以上個展を開催し、日本でも2015年に森美術館で「ディン・Q・レ展:明日への記憶」と題した個展を開催した。