1960年代のサイゴン、庶民の公共交通手段「セラム」を振り返る

2016/11/13 05:22 JST配信

 物売りの人々は、天秤棒やカバン、その他雑多なものを車の屋根に積載する必要があったが、バスはそれに応じなかった。そのため、運賃はバスの倍以上するが、便利なセラムを利用する人が多かった。当時の運賃は、バスが2VND、セラムが5VNDだった。

(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 1968年末には、南部全域で1万7000台のセラムが走っており、その中でサイゴンのセラム保有数は3200台に上った。当時バスは運行を停止していたため、1971年までにセラムはサイゴン及び南部の各省で最も重要な交通機関となった。当時の報道によると、南部全域のセラム保有数はタクシーの7倍に当たる3万台以上に上っていたという。

 1970年代初頭になると、セラムとタクシーが道路を占領するようになり、その後バスが再登場した。1975年の南北統一後、その他の交通機関はガソリンや修理部品が足りず利用できなくなったが、セラムはその普及率と運賃の安さから人々の一般的な交通手段として大いに利用された。

 2004年以降、政府は各種運搬車や乗客を輸送する車両の道路への進入制限について定める政令を公布した。これにより、セラムの運行は制限されるようになり、やがて完全に禁止されることとなった。しかし、今なお多くの人々の記憶の中に、セラムはかつてのサイゴンを象徴する思い出として残っている。

前へ   1   2   3   次へ
[Trung Son, VnExpress, 26/8/2016 | 00:00 GMT+7, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 イタリアの高級スクーターブランド「ランブレッタ(Lambretta)」が、10年以上ぶりにベトナム市場へ再参...
 1910年12月10日午前10時30分、フランスのかつての航空機メーカーであるファルマン(Farman、1908年から1...

新着ニュース一覧

 2025年大阪・関西万博のベトナムパビリオンが、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30...
 ベトナム共産党トー・ラム書記長は4日、私的経済(民間セクター)の発展を促進する政治局の決議第68号-NQ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 地場CTグループ(CT Group)傘下のCTセミコンダクター(CT Semiconductor)はこのほど、東南部地方ビンズオ...
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) ロンドン:歌謡曲でムードたっぷり、街角...
 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は5日、ドイツのエネ
 ラオス・ベトナム国際港(Lao Viet International Port)はこのほど、北中部地方ハティン省キーアイン郡...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 日本とベトナムのリソースを活用したハイブリッドなシステム開発を行う株式会社ハイブリッドテクノロジ...
 ファム・ミン・チン首相は5日に開催された第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議の開幕式で、ベトナ...
 ルオン・クオン国家主席はハノイ市の国家主席府で5日、ベトナムを公式訪問中のスリランカのアヌラ・ク...
 国家交通安全委員会によると、4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに伴う4月30日から5月4日まで...
 ベトナム国家観光局のデータ(速報)によると、4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに伴う4月30日...
 住友商事株式会社(東京都千代田区)は、同社100%子会社のバンフォン・パワー(Van Phong Power)の出資持...
 西日本鉄道株式会社(福岡県福岡市)は、地場不動産大手のナムロン投資[NLG]
トップページに戻る