西北部地方ソンラ省からハノイ市に向かって100km余りの道のりをブレーキもない自転車に乗って一人で走り、途中で気を失いかけたりサンダルが壊れたりしながらも、入院している最愛の弟を見舞いに行った13歳の少年がいる。
(C) tuoitre |
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この少年は、ソンラ省バンホー郡に住む少数民族タイ族のビー・クエット・チエンくん。チエンくんは3月26日の朝、弟が入院しているハノイ市の中央小児病院を訪れた。同病院の医師らは彼の「旅」に大いに驚いたという。
チエンくんの父親であるビー・バン・ナムさんによると、3月25日の昼ごろに学校から帰宅したチエンくんは、2か月前に早産により低体重で生まれた弟が重病で、治療を受けるためハノイ市の中央小児病院に入院したことを祖父から聞いた。
生まれてから2か月、1度も弟に会ったことがなかったチエンくんは、これを聞いて居ても立ってもいられなくなり、通学に使っている自転車に飛び乗ってハノイ市に向かったのだという。
このとき、チエンくんは祖父に「学校でスポーツがあるから行ってくる」と伝えていた。祖父はまさかチエンくんが嘘をついてハノイ市に向かったなど知る由もなかった。チエンくんはハノイ市への経路も知らなければ、自宅からハノイ市までどのくらい遠いのかも知らなかった。チエンくんは道すがら人に尋ねながら、国道をひたすら走った。
自転車はブレーキがなかったため、坂を下るときにはサンダルをブレーキ替わりにしなければならなかった。自宅を出発してから約6時間、25日の夜に西北部地方ホアビン省ホアビン市に着いたころには疲れ果てて気を失いかけていた。