ホーチミンの貧しい下宿集落、子供たちが集まる識字教室

2025/03/16 10:29 JST配信

 しかし最初のころは、子供たちは恥ずかしがって、数分勉強すると近所のごみ捨て場に走って逃げてしまった。親たちも教育にあまり関心がなく、多くは夜に仕事から疲れて帰宅すると、そのままドアを閉めて寝てしまった。もしくは、弟や妹の世話をする人がいなくなっては困ると、子供に勉強をしてほしくないという人もいた。

(C) VnExpress
(C) VnExpress

 それでもレさんはめげずに下宿に通ったが、1日に4回も出向いてやっと子供たちに会えたということもあった。そして数か月後、子供たちはきちんと座って勉強するようになり、文字を書き、計算ができるようになった。

 数年後には生徒の数が増えていき、レさんとホーチミン市青年団の青年労働者支援センター(YEAC)は学生ボランティアを動員して学習の指導にあたることにした。ホーチミン市青年団や地方自治体、そして学校とも連携し、教室の運営をサポートしてもらった。

 YEACは下宿施設のオーナーであるドー・タイン・トゥイさん(女性・35歳)と話し合い、教室に充てるスペースを検討した。そして裏庭のごみ捨て場を改修し、大きな防水シートを集めて屋根を作り、古い車輪を再利用して椅子を作った。

 こうして識字教室が誕生し、15~20人の生徒が毎週日曜日の朝にここで勉強するようになった。5年が経ち、慈善家が机と椅子、そして生徒たちの朝食も支援してくれるようになった。

 現在、教室はトゥードゥック市タオディエン街区とタンフー区タンタイン街区の2か所にある。生徒たちは身分証明書がなかったり、両親に捨てられたり、知的障がいや身体障がいを持っていたり、自ら生計を立てなければならなかったりという事情のある子供たちだ。

 トゥイさんによると、タオディエン街区にある下宿施設は10部屋あり、各部屋の広さは20~50m2で、通常はファミリー向けに貸しているという。借り主は主にクメール族で、生計を立てるために田舎から移住してきたものの、経済的に苦しく、収入も不安定で、半数以上の子供たちが学校に通えていない。ただし、外国人が多いタオディエン街区で実際に外国人の客と接することもあるため、外国語の感覚が優れている子供もいる。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:30 12/03/2025, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 愛情に飢え、辛い子供時代を経験したホーチミン市在住のフイン・クアン・カイさん(男性・32歳)は、宝く...
 ここ数か月の間、北中部地方クアンチ省フオンホア郡(huyen Huong Hoa)のフオンリン小中学校が開講した...
 南中部高原地方ダクラク省クロンアナ郡ドゥルクマル村の地域文化センターでは、文字の読み書きができな...

新着ニュース一覧

 齋藤聡海上幕僚長は、10日から13日にかけてベトナムのハノイ市と北部紅河デルタ地方ハイフォン市を訪問...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、国営ベトナム石炭鉱産グルー...
 ハノイ市は、2026年の新暦正月の1月1日(木)および旧暦元日に当たる2月17日(火)を祝う打ち上げ花火の実...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロ...
 商工省によると、2025年の電子商取引(eコマース=EC)市場規模は前年比+25%増の約310億USD(約4兆9000億...
 イーモール・ベトナム(Emall Vietnam)はこのほど、フランス発祥のファッションブランド「ピエール・カ...
 ブラジル政府は20日、同国のフォス・ド・イグアスで開催されたメルコスール(南米南部共同市場)首脳会合...
 ホーチミン市チョーライ病院は18日、男性患者の顔面にできた重さ950gの腫瘍の切除手術に成功したと発表...
 ハノイ市のドゥックザン総合病院は20日、直線距離で約8km離れたザーラム総合病院まで無人航空機(UAV)を...
 ホーチミン市人民委員会は、同市都市鉄道(メトロ)2号線(ベンタイン~タムルオン間)について、路線計画...
 商工省は23日、製品情報の透明化や消費者保護、企業の持続的発展の支援を目的として、公式ウェブサイト<
 ホーチミン市警察は、豚肉を化学薬品で加工し、「牛肉」として販売していた大規模な偽装食肉の製造・流...
 VIETJOベトナムニュースは、毎年ご好評をいただいております「ベト
 北中部地方ゲアン省のプーホアット自然保護区の責任者であるグエン・バン・シン氏は17日、生きた野生の...
 北部紅河デルタ地方ハイフォン市で19日、日本ハイフォン工業団地(旧称:野村ハイフォン工業団地)の第2...
トップページに戻る