南中部高原地方ダクラク省ヨックドン(Yok Don)国立公園と世界自然保護基金(WWF)ベトナム事務所は14日、国内最大とされる野生ゾウの群れの保護に関して2016~2020年における緊急行動計画に調印した。
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同省では2016年年初の時点で飼育ゾウが48頭いたが、後に3頭が死亡し現在は45頭となっている。野生ゾウについては正式な統計はないものの、国内の保護区や国立公園の報告によると約120頭が生息しているとされており、このうち約70頭がヨックドン国立公園に生息しているとみられる。
南中部高原地方は国内で最も多く野生ゾウが生息する地域であり、ほかの地方に比べ群れの個体数に回復がみられ、また近親交配も減少しているため、国内の野生ゾウ保護の期待が集まっている。
一方で、国内全体では野生ゾウの生息数は1975~2015年の40年間に▲95%減少している。ダクラク省では2009~2016年の8年間に群れの25%に相当する23頭が死亡し、死亡したゾウの75%が1歳以下の子供だという。
また、WWFベトナムによると、ゾウは移動性の動物で、群れで移動しながら生活するには広大な土地が必要だが、その土地が日々狭まってきているために行動範囲がヨックドン国立公園の敷地を越えるようになり、ゾウの安全が失われているという。
さらに野生ゾウ保護の関連当局によると、近年に密輸入され当局が没収した象牙は数百tに上り、密輸入の取り締まり強化によって国内の野生ゾウが密猟の標的になることが危惧されており、野生ゾウの保護が急務となっている。
WWFベトナムは情報技術を応用してゾウの個体を追跡管理すると同時に、収集したデータを関連する保護活動に運用していく方針。