ダクラク省:象乗りツアーから「ゾウに優しい観光モデル」に転換へ

2020/11/16 15:12 JST配信

 南中部高原地方ダクラク省は、長きにわたり観光客を誘致してきた「象乗りツアー」から、「ゾウに優しい観光モデル」への転換を図っており、組織や団体、観光客などに広く支持されている。

(C) Vietnam plus
(C) Vietnam plus

 同省では、1980年には502頭のゾウが飼育されていたが、1998年には166頭に減少し、現在は44頭までに減ってしまった。頭数の減少には、ゾウの老化や密猟、売買、生息できる環境の縮小、ゾウを飼育する世帯で計画的なエサの植栽が行われてこなかったなど様々な要因がある。中でも深刻だったのが、ゾウを酷使した「象乗りツアー」だ。

 これらの問題から、同省は2018年より非政府団体のアジア動物基金(Animals Asia Foundation=AAF)と同省ゾウ保護センターと連携し、ブオンドン郡のヨックドン国立公園で「ゾウに優しい観光モデル」を展開している。AAFはこのプロジェクトに対して2019年~2021年に6万USD(約620万円)を支援している。

 「ゾウに優しい観光モデル」では、ゾウを森に放し、観光客は遠くからゾウを観察したり、ゾウの習性や本能について学ぶことができる。専門家らはこの観光モデルを評価すると同時に、このモデルをより成功させるには人々の意識改革やゾウの飼い主に対する経済的支援が不可欠だとしている。

 観光客には、安全が確保されていない状態でゾウへ接近しようとしないこと、興味本位から象乗りをしたいという考えを持たないことなどが求められる。また、これまで「象乗りツアー」で生計を立ててきたゾウの飼い主については、「ゾウに優しい観光モデル」への転換にあたり生計を維持できるような支援策が必要となる。

 同省は2030年までのビジョンに基づいた2021~2025年の観光開発案を策定しており、その中に「ゾウに優しい観光モデル」も盛り込まれている。

 同省文化スポーツ観光局と農業農村開発局は、開発案に基づいてゾウの飼い主の支援も重視した具体的な観光モデルを構築していく。このほか、科学技術局はゾウの遺伝子の保存や、病気や寿命で死亡したゾウの標本を同省の博物館に展示することも計画している。

[Vietnam plus 09:10 05/11/2020, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市のハノイ動物園は17日、2頭のゾウのいる檻に新たに電気柵を設置した後、固定場所につないでい...
 アジア動物基金(Animals Asia Foundation=AAF)は10日、ハノイ動物園の年老いたゾウ2頭をゾウの保存と...
 南中部高原地方ダクラク省ブオンドン郡のブオンドン吊り橋観光センターは10日、観光客向けの「象乗りツ...
 南中部高原地方ダクラク省ラク郡リエンソン町(thi tran Lien Son, huyen Lak)に住むロンさんは9日、ゾ...
 アジア動物基金(AAF)は、南中部高原地方ダクラク省の「象乗りツアー」の撲滅を目指して、同省に資金援...
 南中部高原地方ザライ省イアパ郡チューモー村(xa Chu Mo, huyen Ia Pa)在住のシウ・キエムさんは12月4...
 国内初の「助産師」のゾウとして知られる「フバン(H’Ban)」が10日、地元の南中部高原地方ダクラク省ラ...
森に帰ったゾウ~ベトナム最後のゾウたち ダクラク省に国内初のゾウ保護観光施設オープン~ (※本記事はV...

新着ニュース一覧

 世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム(Booking.com)」はこのほど、6月のプライド月間(L...
 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版...
 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は
 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)
 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)...
 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に...
 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地
 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行...
 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販...
 ベトナム発のITソリューション企業であるカオピーズ(Kaopiz、ハノイ市)と、東南アジア市場における医療...
トップページに戻る