ダクラク省:100m走にサッカー、高齢も酷使され続けるゾウ

2019/03/20 06:38 JST配信

 南中部高原地方ダクラク省ボンドン郡クロンナー村で11日~12日に「ブオンドン・ゾウ祭り」が開催され、観光客の誘致に一役買ったとの評価がある一方で、祭りの在り方やゾウの酷使が物議を呼んでいる。ゾウ祭りは同省バンメトート市で9日~16日に開催された「第7回バンメトートコーヒーフェスティバル」の一環で行われた。

(C) sggp.org.vn
(C) sggp.org.vn

 ゾウ祭りは2年に1度開催され、今年はクロンナー村のゾウ15頭とゾウ使い30人が、◇ゾウの健康祈願式典、◇調教デモンストレーション、◇森林でのゾウ捕獲、◇パレード、◇ゾウ化粧コンテスト、◇ゾウの100m走、◇ゾウのサッカー、◇ゾウのためのビュッフェに参加した。

 開催にあたり、ボンドン郡人民委員会はゾウの飼い主に対する資金援助のほか、会場整備や客の送迎を支援した。しかし、飼い主たちによると、飼育するゾウは高齢のため100m走やサッカーをする体力がないというだけでなく、数千人にのぼる観衆の声やベルの音で興奮状態になるため、ムチやハンマーでゾウを服従させなければならない。

 あるゾウ使いの男性は、いくらよく調教されたゾウでも生き物である以上、興奮すると観客に害を及ぼす可能性も否めないため「暴力」を使わざるを得ないのだと苦悩する。

 ゾウ祭り開催に先立ち、非政府団体のアジア動物基金(Animals Asia Foundation=AAF)はダクラク省人民委員会に対して祭りの中止を進言する文書を提出した。しかし人民委員会は、祭りは綿密な計画のもと進められており、地元民へも告知済みとの理由で直ぐには中止できないと回答した。

 1980年代には同省で500頭を超えるゾウが生息していたが、現在では45頭(うち26頭がメス)まで減少し、高齢や過酷な労働による体力減退により直近30年間に一度も繁殖が確認されていない。

 この状況を受けてAAFは、ベトナムで初めてとなる「ゾウに優しい観光モデル」構築のために、5年間にブオンドン郡のヨックドン国立公園へ6万5000USD(約730万円)を支援した。初年度にはゾウの放し飼い区域の整備や植樹などに1万3000USD(約146万円)が投じられたほか、ツアーによる収益も新しい観光モデルの構築に充てられた。

 「ゾウに優しい観光モデル」では、観光客は自然体で過ごすゾウを遠くから観察する。こうした観光形態はゾウ乗り体験などに比べ収益は減るが、環境や動物保護に関する教育的要素が高いとされている。

 新しい観光モデルを展開して8か月が経過し、外国人を中心とした旅行者の集客で成果が出ているだけでなく、ゾウの健康状態も大きく改善しているという。ダクラク省ゾウ保護センターは、ゾウを取り巻く環境の改善に向けて今後も組織や個人に対して広く資金援助を呼び掛けていく。

[sggp.org.vn 09:38 15/3/2019, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 南中部高原地方ダクラク省ブオンドン郡のブオンドン吊り橋観光センターは10日、観光客向けの「象乗りツ...
 南中部高原地方ダクラク省ラク郡リエンソン町(thi tran Lien Son, huyen Lak)に住むロンさんは9日、ゾ...
 アジア動物基金(AAF)は、南中部高原地方ダクラク省の「象乗りツアー」の撲滅を目指して、同省に資金援...
 南中部高原地方ダクラク省は、長きにわたり観光客を誘致してきた「象乗りツアー」から、「ゾウに優しい...
 ゾウの酷使や過労死が問題視されているなか、南中部高原地方ダクラク省ブオンドン郡では先のテト(旧正...
 南中部高原地方ダクラク省ヨックドン(Yok Don)国立公園と世界自然保護基金(WWF)ベトナム事務所は14日、...
 南中部高原地方ダクラク省ブオンドン郡クロンナー村で8日、観光客向けの「象乗りツアー」に従事してい...
 中部高原地方ラムドン省ダラット市のプレン滝観光区で8月31日、観光客を乗せたり一緒に写真を撮ったり...

新着ニュース一覧

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同...
 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミ...
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社で...
 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anph...
 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam...
 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~...
 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り...
 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル...
 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した...
 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した...
 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪...
トップページに戻る