ハノイ市ドンアイン郡で2014年~2017年にかけて実施された女性のうつ病に関する調査で、郡内の産婦の8.2%が産後うつ病を発症していることが明らかになった。
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この調査は、デンマークとタンザニア、ベトナムの3か国の関連機関が連携し研究を展開している、「タンザニアとベトナムにおける女性のリプロダクティブ・ヘルスへの暴力の影響(The Impact of Violence on Reproductive Health in Tanzania and Vietnam=PAVE)」の一環で実施されたもの。
調査では、タンザニアのキリマンジャロ・クリスチャン・ メディカル大学(KCMC)、ハノイ医科大学、デンマークのコペンハーゲン大学とデンマーク大学の研究チームが約1400人の妊産婦を対象に調査を実施した。
ベトナム人女性が産後うつ病を発症する割合や要因は他の地域や研究と同様の結果が出ており、夫からの暴力や死産、妊娠中の不安、家族のサポートなどと密接に関係することがわかっている。
調査結果から、産後うつ病は母子の健康に大きく影響することも明らかになっており、身長については生後3か月と生後6か月の時点で産後うつ病の母親を持つ新生児の方が健康な母親を持つ新生児より低身長となる危険性が3倍になるという。さらに、産後うつ病の母親は早期に母乳による授乳を中止することから、新生児の下痢や感染症にかかる可能性が高くなる。
これらの結果から、研究チームは医療機関での産前産後の女性に対する産後うつ病のスクリーニングの必要性を訴えている。世界保健機関(WTO)によると、世界における出産後の女性が産後うつ病になる割合は13%で、早期発見・治療をしなければ後に子供の精神や性格形成にも影響するとしている。