ホーチミン:中部地方の生春巻きの名店、店主は若きエンジニア

2018/09/30 05:25 JST配信

 故郷の美味しい料理の店を開きたいと考えたチンさんは実家へ戻り、地元で名の知れたタイソン風バインクオン屋の門を叩いた。弟子入りしたいと申し出た時、「実子でさえ苦労の多い店を継ぎたくないと言っているのに、大学まで出ておいてバインクオンを売りたいだなんて信じられない!」と女性店主に門前払いされたが、熱意が伝わり無事に弟子入りしたという。

(C) Vnexpress
(C) Vnexpress
(C) Vnexpress
(C) Vnexpress

 中部地方の味の特徴であるトウガラシの辛さと塩辛さは、ホーチミン市民の嗜好に合うように調整が必要だった。現在のつけダレに至るまでは長い時間と研究を要し、当時チンさんは友人たちにヌクマム(魚醤)臭いとからかわれたものだった。

 味の研究の次に苦労したのが開業資金だ。卒業後も在学中の借金が残っていたチンさんは、友人・知人にタイソン風バインクオン屋のアイディアを話してかんぱを募った。しかし、ほとんどの人は職に就いて堅実に生計を立てるべきだと首を横に振った。

 しかし、ついにある先生がチンさんのアイディアに賛同し、開業資金を出資してくれることになった。チンさんはこの資金でタンフー区の小さな貸店舗で店をオープンした。当初、メニューはタイソン風バインクオンのみだったのを、ジュースなど売れそうなものは何でも売るようにしたが、売れば売るほど赤字になった。そして、オープンから7か月目にして資金繰りができなくなり閉店。

 その年のテト(旧正月)、チンさんは友人にチケット代を借りて帰省した。「周りの友人たちは就職して帰省するチケットや両親へのお土産を買うお金もあるというのに自分は大学を出ても一文無しで、その時のプレッシャーたるや半端なものではありませんでした」とチンさん。

 テトが明けてホーチミン市に戻ったチンさんは、これ以上両親に心配はかけられないと就職した。しかし、1日8時間の就業時間は途方もなく長く感じ、なぜビジネスが失敗したのかという考えが頭から離れなかった。チンさんはインターネットでビジネスのノウハウを学ぶと、自分の商売の仕方があまりにもぞんざいだったことに気付いた。

 自分の作った料理は美味しいからと単純に考えて開業し、客が来るのを待った。しかし、まだ市場に浸透していない料理に客足は伸びなかった。そして、初期投資では、本来必要だった宣伝や顧客開拓ではなく、店舗の椅子やテーブルなどにお金を使い、無駄な出費をしていたのだ。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 世界経済フォーラム(WEF)はこのほど、ASEAN諸国における若者の技能と将来の職業に関する調査結果を報告...
 ホーチミン市1区で朝ご飯を食べるなら、バインミー(ベトナム風のサンドイッチ)やお粥に南部地方の名物...
 ホーチミン市ビンタイン区24街区ソービエットゲティン(Xo Viet Nghe Tinh)通り33番地のミー(ベトナム風...
 ホーチミン市6区ファムバンチー通り358番地の路地に、30年の歴史を持ち、知る人ぞ知るバインカインクア...
 ホーチミン市3区ボーバンタン(Vo Van Tan)通り378番地には、ホーチミン市民から外国人観光客までが足を...
 ホーチミン市では、外国人オーナーが経営する飲食店で世界各国の味を楽しむことができる。以下は市内の...
 ホーチミン市1区のマイティルウ(Mai Thi Luu)通りとグエンバントゥー(Nguyen Van Thu)通りの角地に、19...
 おこわ(Xoi)に焼きとうもろこし(Bap nuong)、アヒル肉とたけのこのブン(Bun mang vit)、チェー(Che)、...

新着ニュース一覧

 23日のベトナム株式市場はほぼ全面安の展開となり、VNインデックスは3日連続で大幅に下落した。VNイン...
 国家選挙評議会は21日、3月15日に実施された第16期(2026~2031年任期)の国会議員および各レベル人民評...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ファム・ミン・チン首相は19日、エネルギー使用の効率化、エネルギー転換の促進、および電動車両などの...
 ハノイ市郊外のダイスエン村(旧フースエン郡)ダーチャット村落の人々は、ベトナム語の標準語とは別に、...
 ホーチミン市のドゥックバー(聖母マリア)教会で19日、新しい2本の十字架が教会の2つの鐘塔の上に設置さ...
 ベトナム共産党のトー・ラム書記長は17日、新時代における首都ハノイの建設・発展に関する政治局決議第...
 ベトナム評価レポート社(ベトナムレポート=Vietnam Report)は、2026年における信頼性の高い不動産デベ...
 ハノイ市人民委員会は20日午前、環状2.5号線のジックボン(Dich Vong)~トゥオンディン(Thuong Dinh)区...
 ベトナムと日本の両国政府はハノイ市で20日、総額892億5600万円を限度とする円借款3件に関する書簡の署...
 在外ベトナム人国家委員会(SCOV)によると、現在、世界130以上の国と地域に約600万人の在外ベトナム人...
 地場の小売大手であるホーチミン市商業合作社(サイゴンコープ=Saigon Co.op)はこのほど、2026年の業績...
 国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(Sustainable Development Solutions Network=SDSN...
 スイスの高級時計ブランドであるIWCシャフハウゼン(IWC Schaffhausen)は18日、公式代理店パートナーで...
 国内最大手の格安航空会社ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、世界唯
トップページに戻る