<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【後編】

2019/08/18 05:00 JST配信

 外国人が、国を代表するチームをつくりあげ、国の威信をかけて他国と戦う、という仕事は、思えばかなり特殊なミッションだ。サッカー愛、人間愛なしには難しい仕事だろう。その上にそれぞれの国の、巨大な“全体”圧力がのしかかってきたに違いない。しかし彼は、どんなに追い込まれても“個”を消さずに主張した。そしてピッチの外では、フィリップ・トルシエという一人の人間として、驚くほどに謙虚に、他者や世界への好奇心を持ち続けている。“旅人”であり続けていることも、個性と謙虚さと好奇心とを保てる理由の一つかもしれない。どの国にも一人で行き、マネージャーや代理人はつけたことがなく、今も全てを自分自身で決めている。

(C) Miwa.A
(C) Miwa.A

 「自分はどうも物事のポジティブな面しか考えない。ハッピーエンドしか想像できないところがある、ちょっと変わっているのかもしれない」と笑う。

 トルシエ氏の話を聞いているうちに、「昨日も今日もしんどくても、明日は全く新しい。世界は広く、明日の試合には勝てるかもしれない」気がしてきて、にわかに元気が出てきた。

(C) Miwa.A

 

パリの自宅に、30年以上連れ添う夫人と、モロッコの孤児院から引き取ったお嬢さん2人の家族がある。毎日ビデオ会話を欠かさない。「もうここ20年くらい単身赴任です」と愛する家族と離れて暮らすことを語るときだけは、少し寂しそうだった。 日本代表監督をまた頼まれたら受けますか、と問うと「ウイですよ、でも頼まれませんよ」と笑い「Jリーグならあり得るかな、長い旅のような自分のキャリアの最後が日本というのも良いかもしれない」とにこっとした。

――――――

フィリップ・トルシエ氏略歴

フィリップ・トルシエ(Philippe Troussier)

1955年3月21日、パリ生まれ。

プロのサッカー選手としてフランス国内リーグ所属後、28歳で監督業に転向。1989年にアフリカのコートジボワールに渡り、一部リーグのアビジャンASEC監督就任。1993年コートジボワール代表監督。その後モロッコのリーグチーム、ナイジェリア、ブルキナファソ、南アフリカ代表監督を経て1998年に日本代表監督に就任し訪日。U20代表、U23オリンピック代表監督を兼任。1999年U20W杯準優勝、2000年シドニー五輪ベスト8、アジアカップ優勝、2001年コンフェデ杯準優勝。2002年のW杯で日本代表を史上初のベスト16に導き退任。

その後、カタール代表監督、フランス1部リーグのオリンピック・マルセイユ監督、モロッコ代表監督などを歴任し、訪越前は中国サッカー・スーパーリーグの重慶当代力帆足球倶楽部のスポーツディレクター。2018年8月よりPVF(ベトナムサッカー才能育成基金/Promotion fund of Vietnamese football talents)の技術統括ディレクター。ハノイ市在住。

Twitter:https://twitter.com/sol_beni_3_4_3

【Text & Photo by Miwa ARAI(ライター)】

前へ   1   2   3   4   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 日本サッカー協会(JFA)は10日、元日本代表監督のフランス人サッカー指導者であるフィリップ・トルシエ...
 J1川崎フロンターレとベトナム1部ベカメックス・ビンズオンFCが協力して開催する「
 日本サッカー協会(JFA)は23日、AFC U-19選手権2020予選(兼U-20ワールドカップ2021・アジア1次予選)に臨...
 U-16日越国際交流サッカー大会「Future Football Project U16-Future Football tournament in NARA」...
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 前編 →
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。)
森に帰ったゾウ~ベトナム最後のゾウたち ダクラク省に国内初のゾウ保護観光施設オープン~ (※本記事はV...
森に帰ったゾウ~ベトナム最後のゾウたち ダクラク省に国内初のゾウ保護観光施設オープン~ (※本記事はV...

新着ニュース一覧

 ハノイ市で10月8日(木)から11日(日)まで、「ハノイギフトショー2026(Hanoi Giftshow 2026)」が開催され...
 店主の一家が次々とこの世を去った後、フン・リンさん(女性)とゴック・リエンさん(女性)は、市場の路地...
 ベトナムの株式市場が21日付けで、インデックス開発大手の英FTSEラッセル(FTSE Russell)による市場分類...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナムで18日、米アップルの「iPhone 18」シリーズが発売され、全国の主要販売店で初日に数万台が事...
 インドの旅行雑誌「トラベル・アンド・ツアー・ワールド(Travel And Tour World=TTW)」が先般発表した...
 英国タイムアウト誌(Time Out)は16日、毎年恒例の「世界で最もクールな街トップ40(The 40 Coolest Neig...
 建設省は、外国の組織および個人の住宅所有権に関する規定の見直しを進めている。住宅法改正案で、外国...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、ベトナムの石炭火力発電所で...
 日本全国で「イオンシネマ」を運営するイオンエンターテイメント株式会社(東京都港区)などが出資するイ...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の
 韓国の教育企業であるハンエデュテック(Han Edutech)内のOK-TEST職業韓国語能力試験委員会はこのほど、...
 地場タクシー大手のビナサンタクシー[VNS](Vinasun)はこのほど、不動産開
 政府は9月3日付で、外資系投資家および外資系経済組織の物品売買・関連活動を規定する政令第342号/2026...
 地場のフィットネスチェーン大手であるシティジム(Citigym)は、全社的な事業再編に伴い、10月1日付けで...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)系の電
トップページに戻る