<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【後編】

2019/08/18 05:00 JST配信

インタビュー後記

(C) Miwa.A
(C) Miwa.A

(C) Miwa.A

 実際にお会いしたトルシエ氏は、紳士だった。185cmと背が高く、スポーツマンらしい明るさと、勝負の世界で戦い抜いてきた人ならではのオーラがある。取材の日、時間通りに到着したのに、事前に来ていた私に待たせたことを詫び、長いインタビューの間、あらゆる質問に嫌な顔一つせずに、丁寧に答えてくれた。

 「自分の運の良さは試合に使うので、宝くじも賭けゲームも一切しない」し、孤児院などへの多くの寄付活動や、チャリティイベント参加もできる限りしている。「スポーツの世界ではもともと誰もがアマチュアで、有名選手や監督にあこがれ、目標にしている。私自身もそうでした。だから見られる立場にある人間は、子供たちの夢を裏切らない義務があります」と語る。全ては記せなかったが、真面目でまっすぐな人柄が伝わってくる話が数多くあった。

 質問をすると、意図をすぐに読み取り、例え話などを取り入れながら、とてもわかりやすく答えてくれる。同時に、誇張の全くない自然体であることも驚きだった。長い間文化も言葉も異なる外国で、自分の意図を正確に相手に伝えようと努めてきたせいだろうか、伝達力がとても高く、また伝えるだけでなく、聴こうとする。インタビュアーである私や、偶然居合わせたフランス人青年にも、なぜハノイにいるのか、これについてはどう思うか、など様々な素朴な質問を問いかけ、真剣に耳を傾ける。

 話を伺っていたハノイのカフェでは、「もしやあなたは、フィリップ・トルシエさんではないですか?」と見知らぬコートジボワール人の男性が興奮した様子で歩み寄ってきた。私に、「マダム!この人がどんなにすごい人かご存知ですか!皆この人を今も尊敬していますよ!コートジボワールのサッカーを作ったのは、この人なんです!」と大変な勢いで話しだした。トルシエ氏は嫌がるそぶりもなく、男性が語る30年前の試合の詳細(前半で誰誰がシュートを入れて、それを誰がとめて等々)に耳を傾けていた。「最初はまさにライオンの調教師でしたね、選手たちは気を抜いたらいつでも襲い掛かって来そうな緊張感があった(笑)」「そうでしょう、そうでしょう、なのにあなたは彼らの信頼を得て、白い魔術師と言われるまでになったのですからね」等々の昔話の後、トルシエ氏は「ところであなたは今ハノイで何をしているのですか」と逆に彼に質問し、返事に感心したりもしていた。

(C) Miwa.A

 

「この人はコートジボワールでも協会上層部を怒らせ、W杯予選の最中に解任されました。でもファンは皆わかっていましたよ、彼がどれだけ本気で私たちの国を強くしようと力を尽くしていたか。あの時、彼が代表監督を続けてくれていれば私たちはW杯に出られた、と今でも皆思っている。それから後のある試合の後、スタンド中が立ち上がりトルシエ元監督へのスタンディングオベーションとなった光景は、今思い出しても鳥肌が立ちます。2006年、2010年になっても、代表監督に戻ってきてほしいという声が上がりました」。 (コートジボワールのエルベ氏談) エルベ氏は、ワインの名前がコートジボワールのチームASECの練習場“ソルベニ”だと知ると、「信じられない」と目を見開いた。

前へ   1   2   3   4   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 日本サッカー協会(JFA)は10日、元日本代表監督のフランス人サッカー指導者であるフィリップ・トルシエ...
 J1川崎フロンターレとベトナム1部ベカメックス・ビンズオンFCが協力して開催する「
 日本サッカー協会(JFA)は23日、AFC U-19選手権2020予選(兼U-20ワールドカップ2021・アジア1次予選)に臨...
 U-16日越国際交流サッカー大会「Future Football Project U16-Future Football tournament in NARA」...
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 前編 →
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。)
森に帰ったゾウ~ベトナム最後のゾウたち ダクラク省に国内初のゾウ保護観光施設オープン~ (※本記事はV...
森に帰ったゾウ~ベトナム最後のゾウたち ダクラク省に国内初のゾウ保護観光施設オープン~ (※本記事はV...

新着ニュース一覧

 ベトナムで国内初の炭素取引所が6月末に試行稼働したものの、初日の取引以降、1か月余りにわたり新たな...
 電子機器受託生産(EMS)で世界最大手の台湾フォックスコン・テクノロジー・グループ(Foxconn Technology...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 政府は8月1日、産業クラスターの管理・開発に関する政令第32号/2024/ND-CPの一部を改正・補足する政令...
 烈士(戦死者)の遺骨の捜索・収集は、ほとんどの場合、ほんのわずかな手がかりから始まる。その手がかり...
 内務省は、2026年のベトナム文化の日および2027年のテト(旧正月)と建国記念日に伴う休暇について、日程...
 教育訓練省は、東北部地方トゥエンクアン省のトゥエンクアン英才高校の試験会場における2026年高校卒業...
 VIETJOベトナムニュースが2026年7月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:
 財政省傘下統計局(NSO)の発表によりますと、2026年4~6月の国内総生産(GDP)成長率(推定値)は前年同期比...
 南中部地方ダナン市人民委員会は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進およびデジタル経済の発...
 クラフトチョコレートの製造や販売を手掛けるザ・ココア・プロジェクト(The Cocoa Project)は、ホーチ...
 東北部地方クアンニン省のクアンイエン沿岸経済区で、ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)が総額約5...
 ハノイ市のノイバイ国際空港は、車両の混雑緩和を目的に3日から導入した新たな車両動線計画について、...
 英国・ロンドンの高等法院は、ベトナムのアニメ制作会社であるSコネクト(Sconnect)が制作する人気アニ...
 南中部地方ダナン市で3日、国際ミスコンテスト「ミス・ヘリテージ・グローバル2026(Miss Heritage Glob...
トップページに戻る